内容説明
指一本ぶん、数センチの差を追い求めた男が、なぜ50センチもの溝を見誤ったのか。1994年10月8日、勝った方が優勝という中日‐巨人戦で、ベテラン審判が犯した大誤審の真実を追う「指一本ぶんの行方」、日本シリーズに備え対戦相手の試合を分析する若きスコアラーの情熱と敗北を描く「十四試合」、85年、優勝した阪神の守備に貢献したグラブ職人の挑戦と、苦い結末を描く「陽のあたらぬ証し」他四編を収録。
目次
指一本ぶんの行方―審判・福井宏
ニューヨーク・ニューヨーク―トレーナー・吉田一郎
もっと、もっと降れ―グラウンドキーパー・辻啓之介
ブルペンから見える風景―ブルペンコーチ・石山一秀
陽のあたらぬ証し―グラブメーカー・畠山佳久
十四試合―スコアラー・田中彰
ごんたぐれ探し―スカウト・木庭教
いつかのために―あとがきにかえて
著者等紹介
木村公一[キムラコウイチ]
1961年東京都生まれ。獨協大学経済学部卒業後フリーライターに。野球を中心に硬質の文章を綴りつづけ、96年には「ブルペンから見える風景」で第3回ナンバー・スポーツノンフィクション新人賞を受賞。マンガ原作や、韓国、台湾を始めとする海外野球等にもフィールドを広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小木ハム
13
試合の命運、選手生命をも時に預かる審判。″悪童″こと伊良部秀輝を陰で支えた専属トレーナー。最高のプレー環境=甲子園を守るグラウンドキーパー。一流の″受け手″として投手を励ますブルペンコーチ。会社の利益よりも選手との信頼を貫いたグラブ職人。投手のクセをつぶさに見つけるスコアラー。無名ながら有力な選手を発掘するスカウト。裏方だけど熱い。面白い。プロ野球は選手と監督だけが注目されがちだけど、その華やかさを支えているのは紛れもなく″裏方の仕事師″達なのだと改めて思います。2019/12/26
19720624
2
読み始めてすぐに前に読んだ事を思い出す。タイトルに引かれてまた買ってしまったらしい。やっぱりプロ野球が大好きな事に改めて気づく。メジャーリーグだ、サッカーだ、最近はテニスやバスケも人気だけど僕はやっぱりプロ野球なんだ。きっと何年か経ってまたこの本を読み、また「あれ?この本読んだかも」と思うのだろう。2019/02/27
しめじ
2
プロ野球の世界を支える裏方の人々にスポットライトを当てた作品。彼らのプロフェッショナルとしての仕事の様子を「正しく」理解することでプロ野球というものをより深いところまで含めて楽しむことができるように感じる。2016/10/03
シロー
2
スカウトの最近ろくな選手がいないという言い草に腹が立ちます。2009/01/18
sumikko
1
▲安定して面白いノンフィクションの分野。これも当時に人の今を見てみるのがまたひとつの面白さ。2016/10/12