角川文庫<br> チョコリエッタ

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角川文庫
チョコリエッタ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 164p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043808038
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

進路調査に「犬になりたい」と書いて呼び出しをくらった知世子。彼女が幼稚園年長組の夏休み、家族旅行の道中で事故に遭い、母は帰らぬ人となった。「死にたい」「殺されたい」、からっぽの心に苛立ちだけがつのる高校2年生の夏、映画研究会OBである正岡の強引な誘いで、彼が構えるカメラの前に立つことに。レンズの向こう側へあふれるモノローグが、こわばった心を解き放つ。ゆるやかに快復する少女を描いた珠玉の青春小説。

著者等紹介

大島真寿美[オオシママスミ]
1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞。透明感あふれる文体、かつてなくみずみずしい物語で注目を集める気鋭の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ユメ

61
「犬になりたい」と願う知世子の願いがひりひりと沁みてくる。自分ではない何かになりたい、そんなことは叶わないから死んでしまいたい、でもそれは怖い。共感できるだけに、彼女の投げやりな言動が痛ましかった。心の中でジェルソミーナと対話していたように、悔しいけれど、そう願ってしまうことがまさに生きている証なのだ。モノクロの世界を生きてきた彼女が色を取り戻す夏。良いことか悪いことかはわからないけれど、歩き続ければきっと道の先に何かがある。だから空っぽなんかじゃない。いつかあの瞬間を、愛おしさと共に思い出せますように。2015/06/12

いたろう

50
フェリーニの「道」へのオマージュと聞き、映画がすごく気になっていたが、結局、観ないうちに公開が終了してしまったため、代わりに手に取った原作。高二の夏、「道」でジェルソミーナがザンパノと旅にでたように、チョコリエッタ/知世子は、映研OBの正岡と毎日撮影の旅に出る。脚本のない映画、チョコリエッタのモノローグ。夏が終わり、チョコリエッタの姿を映画に残して、知世子は知世子の「道」を歩み始める。ジェルソミーナのテーマの余韻が深く心に残る。2015/02/11

エンリケ

41
幼い頃に母親が亡くなった少女が主人公。全てに投げやりで常に不機嫌。およそ感情移入しにくいキャラだが、唯一の友達だった愛犬まで亡くしては無理からぬところか。作中頻繁に出てくるフェリーニの映画。そのせいか作品を通じてどこかヨーロッパ映画の様な雰囲気を感じた。特に映画「道」のヒロインに自分をなぞる主人公。そこに危うさと憐れさを感じてしまう。そして映画に仮託して自分の存在感を模索する。彼女も平凡に愛情に飢えていたのだろう。心の空虚を埋める事が出来るのは肉親の愛。ほんのりそれを感じられたのでやや安心して読了。2017/05/11

coco夏ko10角

30
政宗先輩がなんだか気になる人だった。解説でもあったけど、アイスの棒のくだりがやはり印象的。逆に「あの頃、何度も思い出すことになるとは全く…」という場面もあるし。2016/10/31

あちゃくん

28
繊細な女の子、チョコリエッタのお話。自分の子供の頃を振り返り見て、こんなにセンシティブだったかななどと思ってみたり。人間、適切な時期に適切に傷つくことは必要な事なんじゃないかななどと思ってみたり。2014/12/03

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