内容説明
観る者を幻想の世界に誘う「能」。観客はその優れた様式美に目を奪われがちであるが、能の本質は巧みに構成された戯曲に基づく演劇性にある。そして、演じられているのは人生の究極のドラマだ。名人・友枝喜久夫の稽古舞台での「仕舞」を観る機会を得た著者は、眼前で行われる繊細な動きに目をとめ、そこに込められた意味を解き明かしていく。素顔で、装束をつけずに舞う仕舞だからこそ発見できる面白さに次々と出会いながら、舞台上のわずかな所作に秘められたドラマと、ひとりの名人の姿をリアルに描き出す、刺激的な能楽案内。
目次
漂泊の人生(巌頭に立つ男―杜若(クセ)
かきつばたの庭―杜若(キリ)
女曲舞の芸人―百万(クセ))
生の幻影(地獄の風景―阿漕;水面に散る桜―桜川;人生の秋―芭蕉;人間は柳の精になれるか―遊行柳;深窓の少女―楊貴妃)
来世の予感(黄金の林―江口(クセ)
地上の菩薩―江口(キリ)
唯心の浄土―誓願寺
石の怨念―殺生石(キリ)
天女変相―羽衣
山姥の謎―山姥(クセ)
四季の屏風―山姥(キリ))
著者等紹介
渡辺保[ワタナベタモツ]
本名、渡辺邦夫。1936年、東京生まれ。演劇評論家。放送大学教授。『女形の運命』で芸術選奨文部大臣新人賞、『忠臣蔵―もう一つの歴史感覚』で平林たい子賞、また同書と『俳優の運命』で河竹賞、『娘道成寺』で読売文学賞、『四代目市川団十郎』で芸術選奨文部大臣賞、『黙阿弥の明治維新』で読売文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
常磐条(ときわとおる)
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能は伝統芸能としての様式に注目が集まっている。だが芸の面白さは型を型と見るだけでは分からない。能の戯曲としての面白さは、極めて抽象化された舞台上、人の身体のわずかな所作によって壮大な物語が時代を超えて現代に甦る。それは、どんなに言葉を尽くした小説にも表現し得ないものなのかもしれない。 友枝喜久夫の舞い、見てみたかった。・・・が、果たして著者が見て取ったものは見える人にしか見えないもの。自分にそれほどまでのものが見て取れたかどうか。。型の奥に息づくものを「見えたはずだ」と思えるように、今を生きたい。2013/07/25
ジブリエル
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能は自分の想像の余地があるから面白いという著者の意見に大賛成!本と一緒で,そのときの自分の精神状態に合わせて同じ演目でも異なって感じるから不思議。。。最近のメディアツールには想像の余地が少ないものが多いので,能のような想像の余地のあるメディアに触れる機会が重要だと思う。
yonet35
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何度か再読している。能を何度か観て感激したことがある方なら共感できる本だと思う。能好きな方にお薦め。2010/03/31
bittersweet symphony
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ミニマルな舞台芸術としての能において、仕舞というのはさらに装飾要素をそぎ落とし、ひとつふたつの小道具のみで面もつけずに、舞の部分を抽出したものを言います。極限まで簡素化された表現によって、(キャパシティのある)受け手側のロゴスの深遠が喚起されて言葉の豊かな関係の絡まりあいが最終的に具象的なイメージに結びついていく様子を、機縁により年老いた能楽師の私的な舞台(稽古)を観賞できるようになった著者がその状況を描写したものです。2006/03/07
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