内容説明
昭和初期の疲弊した農村の状況、政党財閥特権階級の腐敗堕落…昭和維新を叫んだ暗殺者たちへの一般大衆が見せた共感とは何か!五・一五事件、二・二六事件、そして太平洋戦争への道筋を開いたものは…。
目次
第1章 「立正護国堂」建立前後
第2章 懐疑の子として出生
第3章 社会運動の激化と農村の惨状
第4章 革新運動への助走
第5章 昭和維新の鼓動
第6章 一人一殺
第7章 血盟団事件
著者等紹介
岡村青[オカムラアオ]
1949年、茨城県生まれ。ノンフィクション・ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
5
死への恐れというのが国家の抑止力の根拠と考えるかぎり、テロリストというのは現行の政治秩序を根底から脅かす。故に今日の政治秩序を受け容れる人々にとっては最も恐るべきものである。だが、彼らを癌細胞としてしか見ないかぎり、できたものは外科手術的に切除するという発想から抜けられない。人生とは不可解であると煩悶した青年。トルストイに憧れて田園生活共同体を作った理想主義者。国定忠治なんかを演ずる田舎の劇団の青年たち。かと思うと、熱血の若き士官や学生たち。こんな人たちがテロに手を染めたのはなぜか。ここに解くべき謎がある2019/03/15
keint
3
井上日召を中心に血盟団事件描かれている。 当時の情勢や思想、血盟団員およびそれを取り巻く人物も丁寧に説明されているため、時代背景がわかりやすかった。2019/07/14
駄目男
1
歴史に名を残した井上日召らの世直し運動には警鐘こそ鳴らしめたが未来図がなかったと思う。破壊のみあって建設がない。 国を憂うる気持ちがあればテロルは許されるのか。 結局は政友会で犬養毅と高橋是清が殺され、民政党では浜口雄幸と井上準之助を失った。 井上準之助は将来の首相候補と目されていた。 日本史は暗殺の歴史でもあるが、果たしてこれらの人々を葬り去って、さて、井上日召の目的はこれで達成されたのだろうか? 殺さなければならないほどの悪人だったとはどうも思えないのだが。 狂信的思想だと断じたいが、どうだろう。2016/09/29