内容説明
永禄8(1565)年7月、波切大王の海城を逐われた23歳の九鬼嘉隆は、まだ明けきらぬ伊勢海に血走った目をぎらつかせていた。敵対する千余の志摩地頭軍に砦を囲まれ、暗夜の海を逃げてきたのだ。だが、ただ逃げ出したのではない。嘉隆は、海をへだてた尾張国の当主、まだ見ぬ織田信長のもとに走り、世に出る機縁をつかもうとしていた。一介の志摩の海賊の身から日本水軍の大将にまで上り詰める九鬼嘉隆の凄絶な海の闘いを描く、海洋時代ロマン。
著者等紹介
二宮隆雄[ニノミヤタカオ]
1946年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒。高校時代よりヨット競技を続け、全日本選手権で十五回優勝、世界選手権に八回出場。アメリカズ・カップのNHKテレビ解説者。1990年、『疾風伝』で小説現代新人賞を受賞。以後、作家生活に入る
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