内容説明
時価数千万円の幻の名刀「村正」盗難事件―。深井市にある由緒ある丹羽家の夫婦が、鋭利な刃物で無残に切り殺される事件が発生した。現場周辺の積もった雪の上には犯人の足跡はなく、すべての扉、窓は旋錠されていた。“雪の密室殺人事件”は、県警捜査一課の松本警部補と所轄署の小林刑事が担当。だが、事件には驚くべき結末が待っていた!元警視庁警部補の著者がミステリ界を震撼させた衝撃のデビュー作の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
32
不動産業者の夫婦が自宅で殺される。犯行時、家は密室状態で雪が積もるほどの天候だったが、足跡はどこにもなく犯人は消え失せていた。その捜査本部に突然配属された県警捜査一課の松本警部補だが、彼は捜査経験ゼロの刑事だった。元警視庁の警部補だった著者のデビュー作(『凶刃「村正」殺人事件』を改題)で、あっちで躓きこっちで恥をかきながら、次第に真相に迫っていく松本警部補の姿に好感(特に鬼刑事部長補佐官とのやりとりがよかった)。ミステリーとしても満足の作品でした。2021/09/11
那由多
20
現場経験のない新任警部補が初担当したのは、雪の密室殺人事件。悔しさも失敗もある地道な捜査が淡々とリアルで、本当の現場はこうなんだろうなと思わせ、一緒に地回りをしている気持ちになっていた。密室の完成に、捜査体制が関わっている意外性には納得もできた。2022/11/12
たーさん
17
高校生時代に読んで以来の再読。不動産業を営む夫妻が自宅で殺害され密室状態で発見される。事件当日は大雪に見舞われ庭には犯人の足跡も発見されず煙の如く消えた犯人。捜査が難航する中、過労で倒れたピンチヒッターに捜査一課の松本警部補が捜査本部に投入される。この松本警部補は捜査一課に所属しているものの通訳業務をしてきた捜査未経験の刑事。ド素人刑事が悪戦苦闘しながら捜査する過程が面白い。元警視庁の警察官だった佐竹さんだから書けた捜査本部や刑事達の描写がリアル。派手な描写はないけどオススメの警察小説です。2023/01/21
ロボット刑事K
12
さすがは元警部補の作品だけあってリアルですね。私が苦手とする本格ミステリの三大要素、千里眼の探偵、無能な警察、ご都合主義は登場しません。やっぱり事件は刑事さんが解決しなくちゃね。ところどころ、都合イイとこはありましたが、それは頑張った人への神様のご褒美みたいなモンということで。私も死ぬほど頑張ってたら神様が微笑んでくれたことありますもの。主人公と嫌われ者の補佐官が、某ドラマのアオシマ君とムロイ管理官みたいな関係になるのかな、なんて思ってたのに死んじゃうなんて。☆3つ。作者も既にお亡くなりだとか。合掌。2024/04/26
えむむ
9
最後はビックリした。日本刀、奥が深い。淡々と進むけど、余韻があった。どの刑事さんもリアルにいそう。この人の本、もっと読みたかったなあ。2023/06/19
-
- 洋書
- Safety Twins