感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ikedama99
6
ようやく読了。しばらく読みかけのままで放置していましたが、意を決して?再開。インドにはいるまでは、イスラム圏のためか旅も順調に思えるが、後半のインドから元への行程は、何やらおどろおどろしい世界が見える。(インディジョーンズ 魔宮の伝説 のイメージか?)地図もあまりはっきりしない。また、モロッコに戻った後にはスペイン南部でまだ続いていたイスラム圏をも回っている。移動した距離ならマルコポーロを超えるのではと思う。これの完訳を読みたいような・・でも大変そうだ。当時の旅の大変さを改めて認識した。2019/05/18
ヨックモック
2
ラジオの登場が、現在多くの人がイメージする”国“を作ったと聞いた。電波で首都から届けられる同国語の情報がリアルタイムで共有されてはじめて、文化は均質化した。TVとネットによって、世界は同質化への道をひた走っている。14世紀、国どころか街と街すらも素晴らしい極小の文化圏を持ちつつも世界が心地よく混ざり合っていたこの時代の世界を旅した者こそが、人類史上もっとも充実した旅行者であり冒険者だったのだろうと感じる。自分がバットゥータに抱く感情は、羨望であり嫉妬ダ。きっとこの頃の世界は今よりずっと色鮮やかだっただろう2018/09/05
ひろ
1
★★★☆☆。マルコポーロに近い時代(14世紀初め)に、彼よりも長い距離を旅したイスラム教徒(現代のモロッコ)の旅行記。700年近く昔だが西はスペイン、東は中国まで世界は当時からグローバル化していたということを思い起こす。当時のエジプトやペルシャ(イラン)観も現代と大きく変わっていないようで興味深い。2021/02/28
ヤベ
0
懐かしい読み心地だなと思ったら、それは俺が読書の楽しみを知ったドクトルマンボウ航海記のものだった。2つの作品に共通しているのは、作者が他文化や他者へのおおらかさと、自己の思考の軸の振れない冷静さを併せ持っていることだった。この作品では、作者の巨大な好奇心のために旅程は壮大だ。エピソードは命からがらのものも多くて冒険の名に相応しい。加えて、その好奇心が持ち前の知性と知識的なイスラムアラブ人としての良心に裏打ちされているので、風俗描写は写実的で臨場感に溢れているし、各地の文化は偏頗なく批評されている。2024/07/16