内容説明
突然の大地震に襲われ、7歳の双子の息子と娘が巨大なコンクリートの床の下敷きに。1人の子の命しか救うことができないと知らされた母親は、過酷な選択を迫られる。苦悶の末、ついに息子の名をつぶやいた母の声は、奇跡的に生き残った娘の耳にも届いていた…。わずか23秒間で24万人の命を奪ったという、1976年の唐山大地震に運命を翻弄される家族の心模様を描いた「余震」。他に「北へ」「空の巣」を収録。
著者等紹介
張〓[チャンリン]
中国浙江省の温州に生まれる。1983年上海復旦大学外語学院卒業、86年からカナダへ留学。カルガリー大学(カナダ)及びシンシナティ大学(アメリカ)にてイギリス文学修士および聴力リハビリテーション学の修士号を取得。現在、トロントに在住、聴覚障害リハビリ療法士として勤務。90年代なかばから小説を発表しはじめ、多くの賞を受賞している
申英慧[センインフイ]
中国吉林省に生まれる。吉林大学外国語学部の日本語講師、日系企業勤務を経て、現在は翻訳者として活躍。深〓(せん)で夫と娘夫婦とともに暮らす
中野偉[ナカノスグル]
1974年、大分県に生まれる。7歳から10歳まで中国の大連に在住。マレーシア、中国の北京で勤務したのち、現在は日本企業に在籍しつつ翻訳活動に従事。神奈川県の自宅と妻の実家のある台湾の高雄を行き来する日々である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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映画版も見たのだが、原作の方はまさに「精神分析」小説と名づけたくなるような作品だった。つまり、災害によって王小灯の「シミ」を辿ってゆく(「幻想の横断」)のだが、「大文字の他者」の操り人形(ヒステリー」)になった彼女にむしろその「大文字の他者」は空っぽであること、「汝の欲望は何か?」と彼女に送り返されてゆくラストは文字通り精神分析の終わりである。そのような意味でも実は映画版よりも「外傷」を巡る物語はこちらの方が圧倒的に「正しい」のだ。そして、ここで重要になるのが母親の役割の改編である。2017/05/08
くらーく
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あー、事実・ドキュメントを読みたかったのだ。 それでも、読了したが、合わないんだな、これが。 何なのだろうね、日本人と中国人の精神性の違いかしら。個人的なものかもしれないけど。2018/09/07