内容説明
1962年、独立後まもないコンゴは、国内の紛争に大国の思惑がからみ、一触即発の不隠な空気に包まれていた。マイク・ヴァーノンは、表向きは合衆国大使館員だが、実はCIAの職員で、現地における情報収集がその任務だった。彼は部下とともに、部族語を応用した難解な暗号、リンガラ・コードを完成した。だがそれが、親友テッド殺害犯人の追跡捜査に役だとうとは知る由もなかった…。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞の傑作スパイ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
47
1960年初頭の、独立後間もないコンゴを舞台としたエスピオーナージです。親友を殺されたCIA職員が、コンゴの動乱の背景を探るうちにつながりを見出していく、というストーリー展開。本作品は、枝葉末節に拘っているので、本筋を見失いがちです。寄り道があり、なかなか先に進ませてくれません。そのせいか、徐々に明らかとなる真相も、盛り上がりに欠けるのです。本作品の見るべきポイントは、この当時のコンゴを包む、一触即発のカオスな空気感なのかもしれませんね。ラストのサプライズは、とある作品と似てたりして。【エドガー賞】2020/04/03
koo
7
再読。1962年独立間もなく動乱中のコンゴを舞台にCIA職員ヴァーノンを主人公とした珍しい叙述スパイ小説。同僚の射殺事件を捜査してゆくうちに現地でこれから起こると目される動乱が関連しそこにリンガラ・コードという暗号が絡んでくるというのが本筋ですが登場人物が多いのに登場人物表がない為関係性把握に苦労しますしとにかく脱線しまくりでリーダビリティが上がらない作品です。コンゴ動乱や白人と現地民の対立の描写は新鮮ですが、ミステリとしてはスパイ小説としては珍しいラストのサプライズも含めて再読してもイマイチでした。2025/03/12
優
5
かなり面白かったんだが、角川文庫は登場人物表をつけてくれないのでほんとに主要な人物以外よくわからんままうち一人は裏切り者と判明するし、ええ、あの人が!? というのを味わえなかった。しかし原書も人物表ないまま読めてるので、よく考えるとなぜこの本だけ人物表の有無を問題と感じたのだろう。最後の最後の暴露は、ほんと、なぜ? なぜ? だけど(舞台がコンゴということを考えると)、文中にもあるけど、デュマと同じ感覚を主人公が持っていた、という設定しか考えられん、ということなんかな。2024/07/21