内容説明
マクレディは、難問をかかえてトム・ロウズを訪ねた。かつての優秀なスパイは一切の諜報活動と縁を切り、妻と二人で静かな作家生活を送っていた。マクレディは、ある事件を解決するよう彼に申し入れた。西側に復讐を企てるリビアのカダフィ大佐が、IRAのテロリスト・グループを使ってロンドンを襲おうとしているのだ。リビアからの武器輸送ルートを探り、悲劇を未然にくいとめなければならない。マクレディは、要請に難色を示したロウズに、敵がロウズのかつての宿敵であることを告げた。“最後のスパイ小説”マクレディ・シリーズ四部作第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
70
“THE DECEIVER”シリーズの第3弾。副題は”A Casualty of War”で、和訳の『戦争の犠牲者』という意味であってると思う。内容はリビアのカダフィー大佐(既に故人だが実在の人物)が、“Irish Republican Army”(アイルランド共和軍)、略称IRAの人物にイギリス国内でのテロ活動の計画を企てる物語。物語は冷戦時代の架空の古い話だが、現代の実情を鑑みて、IS国のテロ活動とダブるところがあって、意外と面白い。まさに温故知新というべきか。2015/11/11
ひねもすのたり
12
マクレディーシリーズ三作目の舞台は北アイルランドとリビア。両者の間で行われようとする武器供与を未然に防ぐという筋立て。 IRA(アイルランド共和軍)とかリビアのカダフィ大佐とか当時(91年上梓)は本当にヤバかった印象があります。 ただあくまで私個人の偏見ですが、スパイものといえば鉄のカーテンなわけで、今回のパートナーである元SASの小説家も1,2作目のキャラクターほど魅力的ではないと感じてしまいました。 由美かおる的ポジションのブロンド人妻もお約束なので何も言いませんが・・・三作目ちょっとザンネン★3 2020/08/16
bapaksejahtera
11
英国秘密情報部幹部マクレディは、ソ連の崩壊で用済みとなった機関の整理方針を受け引退を勧告されるが、これを拒否して聴聞会の開催となる。そこで主人公の貢献を振返り今後も有用と訴える「騙し屋」「売国奴の持参金」に続く第三作目。今回はカダフィのリビアからIRAへ武器を輸送する作戦を妨害するストーリーで、組織と対立して引退した元英国特殊部隊員がリクルートされる。如何にものスムーズな進行でやや物足りない。カダフィからのIRA荷と共にバスク解放運動の武器も押収されるが、対ソ連とは違い本作では英帝国主義臭を露骨に感じる。2021/05/03
J・P・フリーマン
11
テロリストの武器のサプライチェーンを考えさせられた一冊。資金調達はできても武器が買える場所がない。だからどこか利害関係が一致する組織から融通してもらうというのがおもしろい。実在の人物や組織が多く登場するので、こういう組織同士のやりとりが実際にあるのかなと思いました。2020/06/20
yasu7777
3
★★★☆☆ 練馬 2834-1672021/05/24