内容説明
「オーロラ」計画は始動した。イギリスに潜入したKGB工作員のもとへ、世界各地から伝令が集結しはじめた。彼らの任務は、ある兵器を組みたてるたれの部品を、巧妙なカムフラージュを施してイギリス国内へ運びこむことだった。その頃、機密漏洩事件を調査中のMI5は、まったく意外な事実をつかんでいた。それは「オーロラ」との初めての接点だったのだが…。「悪魔の選択」に続き、再び大スケールで描く巨匠フォーサイスの力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
169
ハラハラドキドキ。爆弾が読者に提示され、後はタイムリミット。同じように核弾頭を小説にしても、Sハンターのような小説にもFフォーサイスのような小説にも。奥が深いな。リアルさもさることながら、描写が緻密で引き込まれる。オーロラ作戦の成否を分けたのは意外な一手だった。にしても、今はロシアウクライナ紛争中。この小説のソ連はなかなか抜け目がないのだが、現実のロシアは随分と士気が低くて失敗続きのようだ。2022/04/18
hit4papa
38
ソ連がイギリスに仕掛けた西側諸国に大ダメージを与える罠「オーロラ」。下巻では、いよいよその内容が明らかになります。ここでそれを明らかにしてしまうのは野暮というもの。驚愕の作戦のヒントは邦題に表されています。現実的なものであるかは判然としませんが、それを疑う間もなく、俄然、ストーリーの展開が早くなってきます。上巻のじれったさを我慢した先に読書の愉悦あり。ソ連、イギリス双方の諜報合戦の行く末は?ハラハラドキドキのクライマックス、そしてその先には捻ったオチが待っています。各諜報機関内の権力闘争の結末も納得です。2018/01/30
James Hayashi
14
冷戦時代の賜物で古さはあるが、緊張感があり面白さは抜群である。イギリスで行われる諜報活動に核を織り込んだストーリー展開。かなり複雑な人間関係はリアルさがある。2020/04/08
對馬 正晃
13
ラストに向けて面白さがどんどん加速していくのは、デビュー作「ジャッカルの日」からブレない作風ですね。その分、前半は我慢の読書になりますが。それにしても、あんな危険物の作製方法を事細かに書いちゃって良かったんでしょうか・・・?寛容な時代だったのかもしれませんね。2022/03/18
まさやん80
5
フォーサイスを読むのは20年振りだろうか。やっぱりフォーサイスは面白い。 ロシアが、イギリスの総選挙に合わせて、アメリカ基地のそばで核爆発を仕掛けようとする。それを防ごうとするイギリス情報機関との攻防。ラストに向けてのドライブ感はさすが。終わった後のひねりもお見事。 でも、イギリス労働党の件はどこまでリアリティがあるんだろうか。可能性としてはあるのだろうが、本当だとすると少し恐ろしい。2023/05/20