内容説明
ベルリン―この冷たい壁を越えようとして様々な人生が狂い、消えた。たとえ壁がなくなろうとも失われた時間と命は、もどらない。ハリー・ベンジャミンの父は少年時代のこの街のことを決して語ろうとはしなかった。CIAの任務でベルリンに赴任することになったハリーは、ユダヤ人である父の心の奥底にしまわれてしまった記憶をたどるつもりでいた。米ソは冷戦の時代に終わりを告げ、分断の象徴だった「壁」も崩れ去ろうとしていた…東と西、ユダヤとドイツ、過去と未来。対立するものの狭間で揺れる人間がたどる感動の長編。