内容説明
アルプスの山奥で孤独に暮らすおじいさんのもとに、孫娘ハイジがやってきた。無垢で、優しさにあふれた天真爛漫な少女は、出逢う人すべてに幸せと奇蹟をもたらす。暗い過去を背負うおじいさん、人見知りの山羊飼ペーター、盲目のおばあさん、そして車椅子の少女クララ―。大人たちの都合や意地悪に振りまわされながら、悲しみに負けず、思いやりの心を忘れないハイジの姿は、世界中の人々に愛され続けている。不朽の名作。
著者等紹介
シュピリ,ヨハンナ[シュピリ,ヨハンナ][Spyri,Johanna]
1827‐1901。本名ヨハンナ・ルイーズ・ホイッサー。チューリッヒ近郊の農村で医師の家に、六人兄弟の4番目の子供として生まれる。地元の学校で語学と音楽を学び、読書家で、ゲーテに傾倒。弁護士と結婚後、チューリッヒでの生活で交流を広めるも、都市の生活に馴染めず鬱病を患う。一人息子を出産した後、牧師の勧めで本格的に執筆を始め、44歳のとき匿名で処女短編集を出版、以後作家活動に入る。やがて結核にかかった息子の療養に励みながら書いた『アルプスの少女ハイジ』が評判になり、シュピリの名で数々の作品を発表。息子と夫を立て続けに亡くす不幸に見舞われながらも執筆を続け、1901年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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卵焼き
70
一気に読了。アニメを知っているので、さくさく読めました。2021/07/17
コジ
31
国民的アニメの原作は意外と宗教的啓蒙色が強い。ゼーゼマン家では山の景色を求めて勝手に外出したり、子猫をもらってきたりでロッテンマイヤーさんに叱られるなど天真爛漫な印象のハイジだが、行儀作法でに注意されることはい素養の高さ。それどころか山羊達の特徴を短時間で見抜いてそれぞれの名前覚えたと思えば一週間で読み書きをマスターする高い知性の持ち主。そして何より出会った人々と喜びを共有し共に幸福を感じるハイジに読者までも幸せな気持ちなる。ちなみに、原作にはヨーゼフ(セント・バーナード)も小鳥のピッチも出てこない。2019/06/19
陽子
27
文庫本で見つけたハイジを改めて再読。アニメ版のハイジが映像と懐かしい声と一緒に読みながら再現された感じだった。「思い通りにならないことや、一見不幸に思える出来事も、その後の幸福のためには必要な出来事であることがある」と、作者は読者へ物語を通して伝えていたのかなと感じた。いつも純真に周りの人の幸福を願い、まっすぐに行動するハイジに小説でも胸が打たれた。そして、アニメ版がこの原作に添いながらも、更に登場人物に魅力を持たせ、丁寧に描かれていたことが、原作を読んで強く感じさせられた。2019/09/26
北風
21
角川版で再読。しかし、登場当初5歳のハイジが終了時は10歳かあ。そして、クララは12歳から14歳に成長。……中学生のクララを軽々抱えて動けるアルムじいさん。70歳なのにシュワルツェネガー並みのマッチョなんだな。元傭兵?だしね。みんなが怖がるわけよね。2019/12/08
フミ
19
今年に入って読み始めた「名作モノ」。5歳で都会から山の上に連れて来られた少女「ハイジ」が、アルプスの自然と相性が合い、気難しい祖父や、身体も心も弱った、友達の祖母さんを元気付け、突然、連れ去られた都会でも様々な人々に癒しを与え…という感じの小説です。個人的には「ハイジが大人の理想の子供」として完成され過ぎていて、自由に生きたい子供には窮屈かな…と感じましたが、後半の「ペーターが失敗する」話で「普通の子供でもいいんだ」と、許して貰えていてホッとしました。クララやクララのパパ、祖母さんが善人でホッとしました。2024/09/25