出版社内容情報
日本の仏教史上、稀にみる偉大な思想体系を残した禅僧、道元。その思想が余すところなく展開された正伝仏法の宝蔵『正法眼蔵』を、仏教思想全体の中で解明。大乗仏教思想の集大成者としての道元像を提示する。日本の仏教史上、稀にみる偉大な思想体系を残した禅僧、道元。その思想が余すところなく展開された正伝仏法の宝蔵『正法眼蔵』を、仏教思想全体の中で解明。大乗仏教思想の集大成者としての道元像を提示する。
高崎 直道[タカサキ ジキドウ]
著・文・その他
梅原 猛[ウメハラ タケシ]
著・文・その他
内容説明
日本の仏教史上、まれにみる偉大な思想体系を残した道元は、中国に渡り、ひたすら「正師」を求め、「正伝」の仏法を求め続けた。その思想を余すところなく展開した主著『正法眼蔵』は、日本が生んだ奇跡ともいうべき一大哲学書であり、まさに正伝仏法の宝蔵である。この書を仏教思想全体の中で解明し、新しい道元像を提示する。
目次
第1部 無窮の仏行(禅と思想;道元の生涯;仏法の正伝;現成公案)
第2部 『正法眼蔵』の背景―対談(高崎直道;梅原猛)
第3部 道元の人生と思想(アウトサイダー道元;倫理と神秘とのあいだ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
俊介
23
鎌倉時代の禅僧で、日本曹洞宗の開祖・道元の思想に迫る。曹洞宗というのは今でもかなり修行が厳しいらしい。まず、開祖である道元本人が、かなり禁欲的で厳しい人だったようなのだ。言うなれば体育会系。私はどちらかというとそういうのは苦手で、道元に対しても、なんとなく取っ付きにくいな、というイメージだったが、本書を読んで見方が少し変わった。本書は、道元の生い立ちにまで迫り、その厳しさの由来を探るのだが、貴族社会の中に生まれ、そこでの権力闘争や性の乱れ、女性への抑圧などを、まざまざと見せつけられた道元。2022/08/04
さっちも
17
安かったから買ったのだけど、期待していない分、得るものの大きさとのギャップが発生し、エキサイトな読書となった。高崎直道さんの著書ははじめて読んだが、難解で、どう捉えて良いか分からない仏教用語が完結にまとめられていて、仏教への理解がかなり深まったと思う。孤島の監獄から脱出できた気分だ。無我の解説を引用したい、【〈我)とは自己である。外道すなわちインドの伝統的宗教が我〈アマートン〉の常住を主張するのに対し、仏教は無我を説く。そのような常住不変の実態は存在しないというのである。われわれの存在は、身心の諸要素2017/11/21
roughfractus02
6
悟りを得てなお修行するのは何故か?既成仏教への道元の疑問は、悟りと判断する主体の根拠と悟り自体の持続を巡る問いとなる。道元は仏教を、仏陀の悟り体験の伝達過程と捉え、この体験を正しく引き受け伝える(正伝)には?という問いを立てて「只管打坐」なる答えを得る。本書は、仏陀の悟りを「まねぶ」(面受)こととして書かれた『正法眼蔵』を「まね」ぶように、語の意味の外を示す悟り体験の伝達を引用その他で試みる。さらに著者達は、四諦の減・道の理想に集中し、現実に関わる苦・集に触れなかった道元の思想の特質について検討を加える。2021/05/04
home alone
2
このシリーズで正直一番分かりづらかった。道元の正法眼蔵からの抜粋かつそれの解説がメインだけど、それが結構ムズくて意味が分からんかった。分かったことは、道元が異常に潔癖な人で、世俗とあんま交わらないでひたすら座禅しまくってた事。華厳の思想を踏まえつつ、無仏性かつ有仏性をとく。修行のモチベーションが下がるから無仏性を説いておいて後で修行して有仏性に移る2012/08/22
Yoshi
1
道元というと只管座禅し続ける印象であったがその厳しさの理由、生い立ちがいかなるものだったのか、なぜなのかが理解しやすくなった。 正法眼蔵と存在と時間の対比も興味深く、正法眼蔵を時間論の哲学書としても読めるのだと知った。 まだ未読なので読んで見ようと思う。 人を中心に添えるよりも自然を中心に添えている感じがしている。 貴族ゆえに世俗や人を知りすぎ、俗から如何に離れるかその手段が道元にとって禅だったのだろう。2024/03/14