内容説明
一緒に暮らして十年、小綺麗なマンションに住み、互いの生活に干渉せず、家計も完全に別々、という夫と妻。傍目には羨ましがられるような二人の関係は、夫の何気ない一言で裂けた。一緒にいるのに満たされない、変化のない日常となってしまった結婚のやるせなさ、微かな絆に求めてしまう、そら恐ろしさ。表題作「紙婚式」ほか、結婚のなかで手さぐりあう男女の繊細な心の彩を描いた、新直木賞作家の珠玉短編集。
著者等紹介
山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962年神奈川生まれ。OL生活を経て、人間関係の繊細なずれから生じる喪失、慈しみをテーマに作家活動を続け、現在に至る。著書に『群青の夜の羽毛布』『きっと君は泣く』『ブルーもしくはブルー』など多数。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第124回直木賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
149
結婚についての8つの短編集です。もう少しラブラブをイメージして読みましたが、結婚生活が破綻しているのも多かった気が…。子どもがいらないと言われるのもキツいですね。それでも色々な家庭を覗いて見たくて読みました。最近は自分と同年代の主人公の内容が興味深いので、山本文緒さんの本を一気に何冊か読みましたけど、短編よりも長編でじっくり読みたいです。2022/01/01
aoringo
101
結婚した男女八組のストーリー。夫婦の数だけ結婚生活はある。どれとして同じものはないのだなとしみじみ思った。後味はほろ苦くビター。だけど自分に似ているかもと思う一瞬があって読む手が止まらなかった。2023/01/16
アッシュ姉
94
さまざまな夫婦を描いた短編集。不穏な空気からハッとする展開やホッとする結末など、さすが山本文緒さん一筋縄ではいかない面白さ。中でもお気に入りは「ますお」と「貞淑」。自分たちはごく平凡な普通の夫婦だと思っていても、実は相手はそう感じていないかもしれない。同じはずの夫婦の日常が、夫と妻ではまったく違う色に見えているとしたら恐怖だ。相手の本音や裏の顔を知ったとき、平穏な結婚生活が崩れていく。実は仮面夫婦だったなんて怖すぎる。結婚ってなんだろう。やっぱり忍耐力か。2021/09/02
mariya926
80
最後の2作品で読んだことある!!と気がつきました。そこまでは結婚についてを色々考えさせられながら読んでいました。2024/09/07
Comit
70
Kindle Unlimited~結婚にまつわる8つの短編集。黒板にキーーーってなるような仕上がりですΣ(||゚Д゚)結婚は幸せなものという世間一般が抱く観念へのアンチテーゼでしょうか…心がざわつきます(汗)結婚、セックス、浮気、子供、不妊、不倫、2世帯同居、離婚、ざわざわざわざわ(๐◊๐”)/~最近小さい字が読みづらくて、本のタイトルが「紙婚式」だと同タイトルの終章で知りました(笑)「紙」一枚に人は幸せを願い夢を見る。それは一方的じゃなくて、お互いに同じ速さで同じ方向に迎えたらいい(*'ω' *)2021/03/14