出版社内容情報
軍事物資の大半を海外に頼る日本にとって、戦争遂行の生命線であったはずの「太平洋シーレーン」確保。根本から崩れ去っていった戦争計画と、「合理的全体計画」を持てない、日本の決定的弱点をさらす!
NHK取材班[エヌエイチケーシュザイハン]
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内容説明
軍需物資の大半を海外に頼る日本にとって、海上の物資補給線を確保することは、戦争を遂行する上での生命線であった。にもかかわらず、日本は「太平洋シーレーン」を確保するプランを持たないまま開戦に突入した。勝算はない。船舶は不足し、海上護衛の考えのない日本は、輸送船を次々と沈められ、戦争計画は根本から崩れていった。「合理的全体計画」を持てない、今に引継ぐ日本の決定的弱点。
目次
1 甘く見た船舶問題
2 破綻した計画
3 急落する国力
4 反撃するアメリカ潜水艦
5 崩れ去る日本経済
6 飢餓と敗戦と
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
73
太平洋戦争へ突入する前後を、日本の視点から取材したドキュメント。太平洋戦争は、およそ日本帝国海軍の主導の下に推し進められた。アメリカよりハル・ノートを突きつけられ、行き場をを失った海軍の独走とも取れる。陸軍はすでに中国との泥沼の戦いに足をとられ、ソ連に対する防備も必要であった。そんな状況でアメリカと戦争をしなければならなかった理由とは何か。しかも日本は、今も昔も資源に乏しく、海外からの輸入に依存しなければなrない。しかし物資輸送の防備手段が手薄で、なんら有効な手立てを打ってこなかったことが致命的となった。2016/01/05
へくとぱすかる
47
第1章にある、島国であるゆえに、「日本という国は、戦争しちゃいけないように国土そのものができている」という旧軍の元参謀の言葉が衝撃的。輸入なしには戦争は不可能。太平洋戦争の最初から、アメリカは一貫して輸送船をねらって兵糧攻めにし、日本はドイツに比べても食糧に不自由な生活を強いられた。資源を輸入にたよるのは今も同じ。元参謀の言葉は今も生きているとみるべきだろう。2017/05/27
鈴
22
みっきぃさんご紹介本。今更ながら知らないことだらけで、大変勉強になった。日本ってこんなに無謀な戦いをしていたのか。戦争で亡くなった人たちのことを思うと、あまりにも罪深くて悔しくてたまらない。島国日本が孤立する様子を想像するだけで悲しくなった。そして他のアジアの国々をむちゃくちゃにしてしまったのに得たものは何もないとは。同じ敗戦国のドイツと比較してみたというくだりで、「日本政府が他国と比べても自国民をいかに軽視し、無計画なまま戦争をはじめたのか思いしらされる。」の言葉にはショックである。現在の日本は大丈夫な2012/08/31
樋口佳之
12
徴用された船の乗組員の方の無念を思わずには読めない内容でした。/共栄圏どころか共貧圏/2016/07/26
CTC
12
95年角川ソフィア文庫刊、単行本は93年。NHKは前年に[太平洋戦争プロジェクト]を立ち上げ、翌年8月迄に6本の番組を放映。その活字版が本シリーズ。第1巻は国力と総力戦体制がテーマ。 日本の国はそもそも食糧自給すらできないのだから、兵站どころか国民生活すら危うい。米調査では、既に1937年には国民生活に何らのゆとりもなく、45年の国民摂取カロリーは1日1,680Kcalだったと。国土が戦場になった独の終戦頃のそれは、開戦前とほぼ同等で日本の1.5倍と聞くと深刻だ。総力戦体制など無かったに等しい。2016/06/30