角川文庫<br> 旅涯ての地〈下〉

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角川文庫
旅涯ての地〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 415p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041932070
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

夏桂が手にしたイコンは、キリスト教の異端・カタリ派のものであり、それはキリストの「聖杯」でもあった。夏桂は、謎の女伝導士に導かれ、信者達の住む「山の彼方」へ。しかし、「聖杯」がもたらし真実とは・・・。

内容説明

“山の彼方”に辿り着いたマッダレーナと夏桂は司教ベルナルドを訪れ、イコンを差し出した。その中には、『マリアによる福音書』が隠されていた。これこそ、カタリ派が探し求めていたものだった。イエスの真の言葉がヘブライ語で書き記されているこの書が、ローマ教会の手に渡り、闇に葬りさられる前に、司教はラテン語への翻訳を急がせた。しかし、その衝撃的な内容を知った司教は倒れ、大子ジュリアーノまでが、異端審問官への密告で火刑に処される。夏桂がもたらしたイコンが、一つの村を、揺るぎないはずの信仰を、崩壊させてゆく…。荘厳な歴史ロマン大作。

著者等紹介

坂東真砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアで建築とデザインを学ぶ。82年、第七回毎日童話新人賞、96年『桜雨』で第三回島清恋愛文学賞、97年『山妣』で第一一六回直木賞受賞。現在、タヒチ在住
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

343
下巻は物語の舞台を彼らが「山の彼方」と称する地に移す。彼らとはカトリックの側からは異端カタリ派と呼ばれていた人たちであり、トレヴィーゾの遥か北の山深いところに最後の拠点とも思われる集落を形成していた。『マグダラのマリアの福音書』とは、なんとも壮大かつ異端中の異端であろう。『ヨハンネス問答録』でさえも吹っ飛ぶくらいの。カトリックがこれを偽書として退け、焚書に付すのはいとも簡単である。しかし、物語としてはすごいアイディアだ。あるいは、そう語り伝えられる幻の書があるのかも知れないが。本編の終幕、そして⇒2019/06/12

KAZOO

94
坂東さんの珍しい海外のもので上下巻を比較的早く読みました。主人公は日本人と漢人の血が入った元の時代の奴隷です。マルコ・ポーロの一族が元からヴェネツィアに帰る時に一緒に連れて行かれます。上巻ではそのヴェネツィアでの生活が中心で後半は宗教にからむ謎が出てきます。下巻では上巻の後半に出てきた秘密のイコンの様なものをめぐる話で従来のキリスト教の教義とは相いれない者たちがからみます(ダ・インチコードの様な展開も)。マリアによる福音書がイコンに隠されていてその内容が最後には明かされます。非常に楽しめました。2023/05/19

財布にジャック

52
今まで読んだカタリ派関連の小説は全て、カタリ派の人々の結束は固く、ひたすら外敵との戦いだったのですが、この作品は信仰が揺らぎ皆がバラバラになっていくという悲しいストーリーなのである意味読むのが一番辛かったかもしれません。物語の核となる「マリアによる福音書」の内容も、創作とはいえ宗教関係者が読んだらまずいんじゃないかと心配になりました。坂東さんの作品は、実はこれが初読みだったのですが、いきなり心に残る作品から読めたことは大変ラッキーでした。2011/08/20

そら

42
下巻はがっつりキリスト教の話。正統派ではないという理由で火あぶりにされるカタリ派という宗派。いや〰、超大作でしたわ。読み終えて暫し”ぼうぜん”。。ムムム、、「過剰な信仰心と集団生活における負の部分」は、こういう歴史から学ばねばならないですね。人の命よりも信仰や教義が大事なのか?って、理性をもって、広い視野で個人的に考えたら、答えは簡単じゃない?と思うのは私が無神論者だからなのか。。みんなが幸せに生きるための信仰でしょ?とか思うは浅はかなのか。。浅はかですね(笑)。人類って愚かだから生きる価値があるのだ。2019/04/24

白玉あずき

38
お見事、良い作品でした。「マグダラのマリアの福音書」だったのか。グノーシス派(ナグ・ハマディ写本)という発見から、13世紀ローマカトリックの教義の独善と偏狭さ、ミソジニーがあぶりだされるという構成。一つの組織が占有する神とか、信仰とは何か。穢れ、罪はどこから来るのか。信仰をテーマとした作品を読むと、いつも同じ感慨が湧く。初期キリスト教についてほとんど知識は無いのだが、なぜ性愛=罪という刷り込みが完成したのだったろうか。波乱万丈の末、西の果てに骨を埋める夏桂の晩年の境地に感動と共感。2019/08/18

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