内容説明
美しい言葉たちに導かれて、怪異の世界に踏み入り、妖しい絵に背を押されて、恐怖の扉を開ける…。安土桃山時代の振袖鼠、琉球の紫の小蟹、マハラジャの黒い面紗の王妃、アールデコの雛人形―が芳醇な花の香りを放っている。わずか二十枚に封じ込められた絢爛華麗な地獄曼荼羅、十二話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
皆川さんと岡田嘉夫さんの絵によるすばらしいコラボレーションです。むかし単行本で読んだことがあり再度文庫で読みました。皆川さんの日本や中国などアジアにおける様々な話を12話にまとめて楽しませてくれています。皆川さんだけでもいいのですがこの挿絵がさらに怪奇さなどを膨らませてくれています。2021/10/05
★Masako★
75
★★★★ 濃密、濃厚。日本、中国、インド等東洋を舞台にした12話からなる妖奇譚集。やはり、皆川さんの紡ぐ言葉、文章は目眩がするほど美しい。桜、牡丹、藤、菖蒲…話のモチーフとなっている沢山の花の香りにむせ返る。岡田さんの絵は付かず離れず寄り添って、更に美しく幻想的な世界を作り上げている。一話読む事にため息。どの話も素晴らしいが、「崖楼の珠」「朱鱗の家」「傀儡谷」「雙笛」「孔雀の獄」「籠蝶の歌」が特に好みだった。って半分も(笑)! これからもゆっくりじっくり、皆川さんの作品を読んでいきたい♪【図書館本】2019/08/17
らすかる
44
読友さんのレビューどおり、濃密濃厚な美の世界!! ことば選びもことばのリズムも美しい✨✨ 角川ホラー文庫だけど、怖さよりも闇の織りなす美しさと雰囲気を堪能する作品かな~。地獄曼荼羅12話。挿絵がまたなんとも悩ましい。どれもそれぞれが好ましいのだけれど第八話「つれ笛」が何だか心に刺さってる!2019/10/27
kasim
26
鎌倉時代や江戸時代、琉球、中国、インド…と東洋を舞台にした幻想短篇集。各篇が花をモチーフにして官能的に美しい。艶やかさと読みやすさが両立し、しかも品下らないというのはこの著者ならでは。藤の咲き乱れる一軒家に奇妙な鯉と住む魔性の女の表題作、主人の身代わりに処刑される少年を憐れむ菖蒲の花たちを描く第四話が特に好き。何重にもなった象牙の珠を彫る職人の第弐話は、台北の故宮博物館で見た同種の珠を思い出し、懐かしいと同時にこんな物語に仕上げる著者に舌を巻く。劇的独白が好きなので、これを用いた二編もいい。2018/03/30
ナチュラ
21
12話の短編集 昔話の怪談ようなホラー。 言葉のひとつひとつが難解で非常に疲れた。何度か読み直していくうちに、内容がわかってくる感覚。 岡田嘉夫さんの不気味で幻想的な絵が小説とよく合っていた。2017/05/20




