内容説明
屈強な体躯と精悍な容貌を備えた男、日系米人イサム・オキタが漆黒の御前崎海岸で、暴漢からひとりの女性を救出した。それが、黒く渦巻く陰謀孕む事件の幕開けであった…。全国に膨大な信者を持つ新興宗教「マリアの家」の教祖が発した東海・関東大地震の予言は、正に現実の様相を呈していた。東京サミットを数日後に控えた気象庁地震観測室に、その兆候が現れたのである。緊急に招集される学者、閣僚の面々。だが、内閣から警戒宣言が発令される前に、テレビを通じてニセ情報が流れてしまった―壮絶なるパニックの中、オキタがひとり闇に蠢く巨悪に挑む。巨匠が描く長編ハードボイルド。