内容説明
元禄時代―すでに関ヶ原の戦いから百年が過ぎて国は治まり、人々は平和を謳歌していた。しかし時の五代将軍綱吉は巷間“犬公方”と呼ばれ、悪名高い“生類憐みの令”が津々浦々まで行きわたり、太平の一方で、庶民の間に鬱々たる不満が蔓延する時代でもあった。このような中、元禄14(1701)年3月14日、世間の耳目を集める大事件が起きる。かねてより播州浅野家と高家筆頭吉良家の間には製塩技術をめぐる確執があったが、勅使饗応上の対立が昂じ、ついに浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかったのである。この殿中松の廊下の刃傷事件から国民ロマン“忠臣蔵”の幕が開く―。