内容説明
昭和45年11月25日、作家・三島由紀夫は、魔人・加藤保憲の正体を暴き―“霊的防衛”―を叫び、自決した。あれから24年が過ぎた。東京の主要な建物は、周辺から避難してきた人人に開放され、6年前に始まった火山活動は激しさを増し、東京大地震を予感させた。世紀末的風潮の最中、加藤の野望、帝都崩壊を何としても阻止せんとする女が現れた。名は大沢美千代―。彼女こそ三島の魂が転生した姿であった…。サイキック伝奇長編小説第8弾、未来篇スタート!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
128
荒俣さんもここまで東京の未来を予測していたとはやはりただものではないですね。三島由紀夫の生まれ変わりという女性が現れて、加藤保憲に対峙させるべく育て上げられていきます。また東京の様々な場所が出てきますが昔の神保町がなくなってしまい空洞化します。またサイクラーと呼ばれる暴走集団が出てくるのも面白い感じです。2016/12/03
saga
52
【再読】昭和30~40年代から一気に昭和70年。本作が昭和62年に刊行されているので、当時は未来のことであり、副題〈未来宮篇〉とされているのだが、21世紀のいま読むと、未来を描くSFの難しさを感じる。それはそれとして、魔人・加藤は海竜を目覚めさせようとしている。年老いた目方恵子は死を目前に、次代の神子を育てることができるのか? 自衛隊市ヶ谷駐屯地で起きた三島事件に、黄泉下りという虚構を混ぜて物語は進展する。鳴滝老人が地下に建設したミニ銀座に囚われた辰宮由佳理の魂は、安らぎを得られるのだろうか?2021/07/04
ヨーイチ
40
とうとう執筆当時を追い越してしまったみたい。今読むと、想定された時代すら昔になってしまい、しかも近未来というか近い将来なので、執筆当時の歴史を確認・思い出しながら読み進めるという屈折した読書となった。オマケに通俗的に言うと「内輪受け」のノリもかなりあり、屈折は更に角度が大きくなる。帝都を滅ぼそうって話なので、終末感が漂うわけで、例の「ノストラダムスの大予言」も入っていたのだろう。ネタバレだが三島の将門の夢の対決もさることながら、東京がスラム化する設定と理由がユニーク。作者の好きそうなテイストに脱帽。続く2019/05/09
らすかる
32
三島由紀夫の自決。転生を宣言して生まれ変わりが魔人加藤と対決するために巫女として修行。初期の頃の登場人物はだいぶお亡くなりになっていて、新たに主要人物たちの生まれ変わりが登場。2019/04/07
たかぴ
18
昭和が続く世界。帝都東京が東京避難場所となり治外法権の場所となる。平岡公威の生まれ変わり。鳴滝老が加藤保憲よりも怪人と化す。死んでもなお巻き込まれる辰宮由佳理。もう都市として死に体なのに更に破壊しようとする加藤保憲。目方恵子さん、お疲れさまでした。あなたの舞う姿は幻想的で美しいです。ありがとうございました。2021/10/13
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