内容説明
全面ガラス張り、360度眺望がきく豪華展望車。国鉄が誇る〈水晶特急〉が上野から酒田まで、マスコミ関係者を乗せ処女旅行に出発した。目的地には大物代議士加灘が待ちうける。だが出発直後、トレイン・ジャックされた。加灘に過去の罪を告白しろというのだ。人質にされた週刊誌記者夜片子は、その途中経過を公表する役目を、犯人に命じられた。しかも驀進するこの列車が、人質もろとも突然かき消えてしまった。誰が、どんな方法で…?想像を絶する大トリックを華麗に描くファッショナブル・ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YJ
13
車両が丸ごと消えるっていう非現実的な謎を成立させるトリックがたまらんですね!中々そそられます。2015/03/09
Tetchy
10
今回のトリックは事件が起こっている最中で解読できた。だから列車ジャックの顛末がひどく冗漫に感じられ、島田自身も何だか早く書きたいところに行きたいのを持て余しつつ書いているような思いが行間から感じられた。だから途中までは駄作だなと思っていたのだが、やはり島田荘司、ただでは終わらなかった!!しかし、技術の進歩というものは残酷である。今、携帯電話が普及する現代ではもはやこのストーリーは成り立たないのだから。2009/08/07
MOMONATSU
7
バブルの象徴のような豪華列車のお披露目走行中に起こる車両占拠。犯人は若干偽善ぶった感じが鼻につくし、事件計画もお粗末な感じで、要求が通ったタイミングで「はい、御用」になる筋書きは容易に想像できる。目的地の酒田に向かう途中でタイトルどおり電車が消える。阿井渉介さんの「列車消失」的大胆トリックなのかと思いつつ、こちらは少し変化球で吉敷刑事が弄した苦肉の策がその真相だ。列車がまさかあそこに行きつくとはね。島田さんらしい豪快さにまたまたしてやられた。2019/04/21
ビスコ
6
実は島田荘司初読み。御手洗シリーズと違って、吉敷シリーズは軽めなのかな。 鉄道ミステリの宿命として、古さを感じるのは仕方ない。トリックはシンプルにして大胆、としか言いようがない。同じ列車消失モノでも、西村京太郎「ミステリー列車が消えた」とは違うアプローチを見せてくれる。2018/03/18
ks3265
5
吉敷刑事シリーズの第1弾だったらしい。列車が消える謎は予想外に複雑だった。何気ない言葉は実は真理に近づく謎だったのだが、読んだ時には深く考えなかった。西村京太郎みたいな時刻表ミステリーをちょっと想像したが、実は奥が深かった。今読んでもそんなに古臭い感じがしない。2019/08/24