内容説明
人はその男のことを真剣師と呼ぶ。他に何の定職を持たず、賭け将棋だけで生活をしている者のことである。男の名は、加倉文吉。旅から旅へ―。俗世界のしがらみをすべて断ち切って、ただただ強い相手を求めて、文吉は生きる。裏将棋。それは肉体を使わない、精神と精神の極限の闘いである。そこでは、眼には見えない血が流される。勝負にすべてを賭ける男の凄絶な生き様を描く傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はかり
7
真剣師という言葉を久しぶりに聞いた。夢枕としても初のテーマだと言う。いわゆるプロ棋士になれなかった賭け将棋のプロは将棋が好きですきでたまらない人々が陥る。加倉文吉という主人公は哀しい過去を持ちながら賭け将棋に生きる。夢枕はこんな人生を描くのが実にうまい。2019/03/19
fukufuku
1
賭け将棋を生業とする人を真剣師というらしい。その1人を描いた将棋小説。もちろん、裏というか日陰というか、そういう職業が存在するわけではなく、言ってしまえば闇家業なわけなので、真剣師さんも裏というか日陰というかの空気を纏っている。が、その分、凄まじい粘度の血潮が渦巻く日々があるようだ。なにかに取り付かれてそれしか生きる術がない人は怖い。2017/05/06
hiloaki
0
将棋の漫画本のような感じですね。表題からはここまで将棋対戦一辺倒だとは思いませんでした。そうだとわかっていたら読んでません。でもそれこそ漫画のように読みやすかったです。お終いのシーンは森博嗣のスカイクロラシリーズの感覚と被りました。2016/05/25
パセリ
0
将棋小節。真剣師の生きざまが面白い。夢枕氏の小節のなかでも、かなりの好きな作品。あまり世に出ていない感じがするのが、じつにはもったいない。2015/11/19
punto
0
将棋指しのはなし。面白かった。2011/09/28