内容説明
男は、3年前に別れた妻を救うために、その街へやって来た。「なにからはじめればいいのか、やっとわかったよ。殴られた。死ぬほど殴られた。殴られたってことから、俺ははじめるよ」妻の死。息子との再会。男はN市で起きた土地抗争に首を突っ込んでいき、喪失してしまったなにかを、取り戻そうとする。一方、謎の政治家大河内が、ついにその抗争に顔を出し始めた。大河内の陰謀に執拗に食い下がる川中、そしてキドニー。いま、静寂の底に眠る熱き魂が、再び鬨の声を挙げる。“ブラディ・ドール”シリーズ第8弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Take@磨穿鉄靴
38
ブラディドールシリーズの8巻。今回の主役はスーパーのオーナー。属性:登山家。どこか冷めた中年。感情の起伏はあまりなく淡々と話が進む中それを支えるまわりのメンツがオールスター状態でとりあえずの勝利は序盤から確信出来るもラストのホッとしてからの爆破はちょっと…。これこのままじゃ絶対終われないじゃん。という展開に。それでも静かに幕が降りたけどこれはリベンジ展開になるんだろうなあ。前巻に引き続き巻末の対談は蛇足だと思ったけど北方氏が柔道二段、その父は四段であることを知れたのは収穫。★★★☆☆2023/11/18
ねこまんま
34
男同士の約束に年齢は関係ないのね。 なんだかんだ言って、結局いい親子になっていくだろうと思わせといて、それはないでしょう!という結末。 このシリーズは親子の信頼感にあったかみを感じられるので好き。 立野はこれからどうするんだろうねえ・・・2016/07/30
せ〜ちゃん
26
★★★★★ シリーズ第8弾。2016/05/10
Aquarius
24
血の繋がりは無くとも父と子が交わす男と男の約束。子供と言えども、護ると決めたら初志貫徹。太一の幼いながらにして魅せる男気に心震える。誰もが安堵した瞬間に降りかかる悪夢のような出来事。完全に油断していたあの一瞬に男達の努力が一瞬にして災厄として強襲する。こんなものかと呟く立野の心境。あれに全てが凝縮している気がしてならない。心で測る酒量。坂井の気障な言葉が、とても印象深い。2015/06/25
taku
17
いくぜ第八章。一般人がなんでこんなにタフなハードボイルド野郎なのか。愚問だな。画家も医者もサラリーマンもそうだったじゃないか。これがハードボイルドの理。黒幕相手の闘いは興奮しちゃうね。中盤から盛り上がってきて一気にいける。ただ、ラストがいただけない。この反応はこっちが白けてしまうと感じるのは、「男の死に様」とは違うのに、それと変わらないから。失礼だけど先生は引き出しが少ない。それでも疾走感があって面白い。2018/12/29