内容説明
長細く形のいい指…。それが落ちていたのは、林間学校のベッドの上だった。見つけたのは祐市という気弱な少年だった。彼は、その気味の悪い指に悩まされるのだが、そのことを誰にも打ち明けられずにいた。やがて次々と起こる奇怪な出来事。それは祐市の妄想なのか、それとも…。外界から閉鎖された環境の中で恐怖に脅かされる少年の心理をリアルに描く、心理ホラーの傑作。
著者等紹介
栗本薫[クリモトカオル]
東京生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人文学賞受賞。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍中
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのぼん
30
林間学校で泊まっていた部屋のベットの上に何故か『指』が落ちていて・・・。果たしてそれは存在するのか、それとも少年の心のなかで見えている幻なのか。っていうお話でした。あんまり怖くはなかったかな。最後まで読んでみて、少しモヤモヤする感じでした。少年のその後の人生も気になりました。2013/10/03
καйυγα
5
小学生5年生の林間学園ホラー。全ての活字が主人公の頭から出力されており、とても読んでてウンザリする。先生の会話も平仮名が多く、会話や言葉遣いも所々に違和感を覚える。主人公の無駄な感情ばかりが押し出しており、繰り返し同じ文章がギッシリバッシリ書かれてとても鬱陶しい。ホラー要素はあるけど、話が途中でぶった切られ、拍子抜けはもちろん、夢落ち感が否めない。最後の諦めムードも、雑用に雑な指示を与えた様な仕上がりで非常に残念である。2014/09/02
キャモメ
4
主人公視点で展開される話。真実は読者に考えさせるような内容。すらすら読めたけど、うーーん、て感じ。もう少しグロテスクな描写もあったらと思った。2017/03/11
kaizen@名古屋de朝活読書会
3
指ではなく、顔に問題があったのか. 人間の心理を描写し、 怖いものを際立てようという栗本薫の意思は伝わってきた. 栗本薫ファンなら、読んでも、ああ、こういう作品も書くんだということで納得できる. あるいは、こういう作品を読むのが好きなんだというのも納得できる. 人間の描写もうまいし、筋の作りもうまいが、 自分が読みたいものを書いているのかもしれないという気がしました.2012/03/13
はぐれ猫
3
栗本薫の小説を読むのは何年かぶりです。グインサーガを読み始めてから、他の作品を読まなくなっていたから。この人は文章を読ませる作家ではなく、頭の中にある世界を吐き出してる作家だと思う。 これは虐待を受ける子供が壊れていく様を子供の視点から描かれているホラーです。虐待を受ける子供の心理、それゆえに人に嫌われてしまうことを過剰に気遣い、自分の中に悩みを落とし込む。周りの親切ですらプレッシャーとなってしまう。それだけでも切ないのに、少しずつ身の回りに起こる異変について、「頭がおかしいと思われたらどうしよう」と誰2013/02/16