内容説明
血にまみれた女の死体の傍におかれた雛人形。届けられた黒枠の名刺。そこに死人島で殺され、死体消失した神官弓削秦一郎の名が…。2000年の昔、唐より渡来した徐福の伝説に残る不老不死の霊薬を現代に甦らせたという弓削。黄泉の国から立ちかえった弓削の仕業か、虐殺された仙女の1000年の呪いか。ご存じ名探偵滝連太郎が死人島の連続殺人事件の謎に挑む伝奇ミステリー、第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
伊勢志摩、徐福伝説の残る島、そこで起きた不老不死の薬を飲んだ男の痛い消失事件。現場に残された三人官女。と相変わらずギミックはいいのだけど、今回は眼高手低の感が免れないかな。土俗ミステリにしては土俗の部分が割とあっさり目だし、ある人物に注目させるミスリードが強くてそこを考えると犯人もあっさり目星がついてしまうし。ある人物の行動と犯人のある行動がどうも常識的に不可解な部分はあるし…。ちょっと辛いかな。『湯殿山麓呪い村』が土俗ミステリとしてはあまりにも完成されていたので、そこを基準にして評価が辛目になったかも。2022/02/03
ヨコケイ
1
滝連太郎の3。伊勢志摩の離島で神主が殺され死体が消え失せる。郷土史家でもあった神主が著した徐福渡来伝承に纏わるトンデモ本の出版記念会に滝が出席すると新たな事件が発生。現場には島で惨殺された仙女の言い伝えをなぞるように雛人形が添えられており…。舞台が離島に移り不審事が陸続。解説にもあるが山村は「伝奇本格探偵小説」の復活を企図していたよう。が〈伝奇〉部分はあくまで伝説や因習による事件の意匠で背景は寧ろアクチュアルにしてある。両者の落差というかミスマッチ感の是非は悩ましいがあまり今様の作品にない味わいではある。2024/11/17
気まぐれ天使
0
22013/05/27