感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
107
「その鼻から噴き出る血の匂いが、鋭く邦彦の鼻をうった」。大藪春彦初読み。なるほどこれがとなった。60年も前の作品ということを意識して読んだが、ど真ん中な血とバイオレンスの世界がむしろ余計な事を考えさせずにグイッと読ませる。何よりも主人公の伊達邦彦。反逆精神と破壊欲に塗れた彼の大胆不敵な策動ぶりを堪能した。銃に車、文学、そして犯罪、それらに"美"と"悲"を徹底的に求める姿が何か印象深い。淡々とした文章はストイックだが、一方で当時の背景、傷を忘れて戦後成長へ向かう時代への皮肉な激情も感じられたように思えた。2021/09/10
茜
99
DVDで観たので原作を読みたくて手に取りました。私の読んだのは昭和55年発行の9版で表紙が松田優作さんだった。画像が見つからないのはきっと松田優作さんの表紙のものはプレミアでもついて高価になってるのかなぁ。さて内容はと言うとこれが読んでビックリ、映画とは全然違うストーリーでした^^;表題作と復讐篇もが収録されていて復讐篇の方が面白かったです。ハードボイルド小説は多分初めて読んだと思うけれど、やたらと銃の描写が細かいのさえ気にならなければ結構楽しめます。2021/12/28
kinnov
36
大東亜戦争終戦間近、満州で露亜、中国の過酷な反撃の中で命拾いし、人としての何かを失った少年が、権力の横暴と経済、支配者層への憎悪を胸に、学生運動の空々しさに背を向け、独り世界への復讐へとひた走る。固くシンプルで研ぎ澄まされた作者ならではの文体で、後の大藪春彦の作風とは異質な文学的な男の物語が、エッジの効いたスピードで展開されていく。ニヒリズムを体現し、虚無を心に飼う伊達邦彦に心から痺れた。2024/04/17
カニック
10
ハードボイルド小説は久々。随分前に映画を観た記憶があります。この手の作品は映画の方がいいかな。2023/06/16
よっちゃん
4
初めての大藪作品。映画化されていた頃は縁がなく作品も映画ま未読。ダークヒーロー伊達邦彦激しすぎる。あまり好きなキャラではない。2017/02/08
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