出版社内容情報
永遠の不良・寺山修司による家出のススメ平均化された生活なんてくそ食らえ。本も捨て、町に飛び出そう。家出の方法、サッカー、ハイティーン詩集、競馬、ヤクザになる方法……、天才アジテーター・寺山修司の100%クールな挑発の書。
寺山 修司[テラヤマ シュウジ]
著・文・その他
RODEO[ロデオ]
著・文・その他
内容説明
あなたの人生は退屈ですか。どこか遠くに行きたいと思いますか。あなたに必要なのは見栄えの良い仕事でも、自慢できる彼や彼女でも、お洒落な服でもない。必要なものは想像力だ。一点豪華主義的なイマジネーションこそが現実を覆す。書を捨てよ、町へ出よう―。とびきり大きな嘘を抱えながら。家出の方法、サッカー、ハイティーン詩集、競馬、ヤクザになる方法、自殺学入門etc…。八歳にして詩を書き、時代と共に駆け抜けた天才アジテーター・寺山修司による、100%クールな挑発の書。
目次
第1章 書を捨てよ、町へ出よう
第2章 きみもヤクザになれる
第3章 ハイティーン詩集
第4章 不良少年入門
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
昭和10年青森県生まれ。早稲田大学中退。同42年演劇実験室「天井桟敷」を設立。第一回公演「青森県のせむし男」以後演劇・映画・詩・評論など意欲的に活動。58年敗血症により四十七歳で死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
177
就職した途端に定年後の人生までが見えてしまい、しかも生涯かけて稼ぎ出す金額は森進一の1年間の遊興費にも満たない―そんな人生とはおさらばしょうぜ―本書は天性のアナーキスト寺山修司が放つアンチテーゼである。そして、そんな彼が対極に置くのがギャンブルと家出だ。つまり彼はここで脱日常、非日常を激しくアジテートしているのである。後半は寺山の「早過ぎた自叙伝」が語られるが、それはまさしく「孤立無援の抒情」を貫いた半生であり、底流には常に暗い情念が渦巻いていた。―「新しき仏壇買ひに行きしまま行方不明の弟と鳥」。2013/03/08
真香@ゆるゆるペース
147
エッセイ・詩・俳句・短歌と、形式にとらわれずいろんなジャンルの文が一度で楽しめる、お得(?)な内容。トンデモなようで真理をついており、良い意味でも悪い意味でもこれまで触れたことのなかった価値観を知ることができた。50年以上前の作品なので昭和臭が漂いつつも、令和の今でも新しいと感じる考え方があったり、新旧どちらの感覚も味わえる。普通や常識に逆行する挑発的でやさぐれた感じは、万人受けはせず好き嫌いが分かれそうだけど、自分はこういうの嫌いじゃない。もっと早く、十代の時にこの本と出会いたかったなあ。2020/08/13
佐々陽太朗(K.Tsubota)
131
寺山修司を読むと場末の酒場で酒を飲み、カッコヨク堕落したくなるのはなぜだろう。繊細で弱く、少しだらしない人間になりたくなるのはなぜだろう。銀行口座に小金を貯めている自分が恥ずかしくなるのはなぜだろう。五〇歳を過ぎて生きている自分がうす汚く見えてしまうのはなぜだろう。2016/09/13
molysk
64
寺山修司は、昭和後期の歌人、劇作家。前衛的な作風で注目を集める。本作が執筆された昭和40年代は、高度経済成長を経て復興を果たすも、変貌していく社会から取り残された人々や、これから何をなすべきか分からずに途方に暮れる若者たちが、息をひそめていたのではないだろうか。寺山は、ニヒルな文体で、自らを無宿とうそぶき、アングラな生き様を描き、若者をアジる。一方で、その行間には日の当たらない人への優しさが垣間見える。「――私は自分の自殺について考えるとき、自分を他人から切り離すことの難しさを感じる。――」(原著平仮名)2021/03/20
匠
64
10代の頃に読んだ時、背伸びしてみてもよくわからなかった。ギャンブルなんて何が面白いのかと。今読んでもそのあたりはまったく共感できない。でも『家出のすすめ』を読んだ後こちらを読むと、家出に関しては少し納得してしまう部分がある。つまりは書を捨てる以前に親を捨て、家を捨てよう、そして世間の荒波に揉まれて地を這うような思いをすると見えてくるものがあるよと、そんな解釈もできる。机上の空論より、自分の身をもって体験せよということなんじゃないだろうか。で、生温い日常を送る人たちに贈る「書」っていうのがなかなか面白い。2013/05/14