内容説明
千葉道場の四天王、玄武館の天狗と呼ばれながら禁を破った平手造酒は破門、江戸追放の身となってしまう。ところがある夜、偶然に一通の連判状を手にした。そしてそこには恐るべき内容が書き込まれていた…。連判状を隠し持ち、絵草紙屋の女、お絹と笹川へ向う平手造酒。連判状を追って次々と襲って来る刺客たち…やがて舞台は大利根河原へと移って行く。サスペンスあふれる異色の天保水滸伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旗本多忙
18
玄武館を破門となり4年振りに江戸に現れた浪人平手造酒は、偶然にも老中土井大炊頭の邸前にて、訪ねて来た三人組を襲う怪しい黒装束と斬り合った。賊の狙いは三人組が所持する連判状だった。その頃、筆頭老中の水野忠邦は天保の改革を断行し市民からは悪法と蔑まれた。後に水野は失脚となるのだが・・・連判状を手にした造酒は下総の笹川一家に身を寄せる。読み終わってみれば、なんかやくざの出入りばかりが目につく。余命いくばくもない平手造酒の半生は夢のようだった。病にならなければ・・・これとて致仕方ない。2022/06/03