内容説明
ある日の午後。にぎやかな街のなかに突然裸の男と女が現れた。20歳くらいの美しい二人は、腰のあたりを大きな葉っぱでおおっているだけ。すぐに警察に連行された二人は、男はアダム、女はイブと名乗り、楽園から追放されて来たのだと話す。たちまちテレビ局が目をつけ、専門家はさまざまな説を唱えて議論をするが、どうしても本物としか考えられない―そして事件がおこった!全10篇を収録した傑作“SF落語”集。
著者等紹介
星新一[ホシシンイチ]
1926年東京生まれ。東京大学農学部卒。57年日本初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参加。68年『妄想銀行』で第21回日本推理作家協会賞受賞。ショートショートの第一人者として1001以上の作品を発表した。その他、時代小説、少年小説など多方面で独創性を発揮。97年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
305
星新一さんのSF落語全10編は平均約20頁でシンプルなストーリーですのでスイスイと読めましたよ。やはり著者の良さは常に冷静で淡々とした語り口にあるのでしょうね。オチがとっても愉快な3編を紹介しますね。『心残り』重症患者専用の病室にいた男3人が話し合う。ハンサムな男は車の事故で下半身不随の身の上で、体が丈夫なヤクザ者の男は腸が弱く下痢体質で、太った男は金が切れると駄目だった。三人の共通の心残りは女にモテたいという夢で相談して医師にハンサムな男の頭部、体が丈夫な男の胴体、太った男の下半身を繋げて欲しいと頼む。2022/05/02
小梅
89
勝手に星新一月間で再読。解説が平井和正で星新一を崇拝してる楽しい文章でした。平井和正の長男と同級生だったので懐かしく、平井君のお父さんが星新一と交流があった事、仲人が星新一さんだったなんて、当時知ってたらなぁ〜と思いました。2017/09/17
しゅわ
51
【図書館】勝手に星さん再読祭り中。ちょっと長めのSF落語…とのキャッチフレーズ通り…星さんにしてはちょっと長めの…神話や空想世界からスパイ小説!?までいろいろなエッセンスが詰まった10篇の短編集です。賭け事に夢中になりすぎた四人を描く『四で割って』なんて いまでも古臭くなく読めてビックリです。私の手元にあるのは講談社文庫だけど、登録の際にいまは角川文庫版の方が出回っていると気づき、さっそく借りてきてみました。見慣れた和田誠さんのイラストとは雰囲気がぜんぜん違うけど、片山さんのイラストも素敵ですね。2015/01/24
KAZOO
48
ほんとうにいつ読んでもあまり時代性を感じさせないので今も若い人に人気があって、版をいくつも重ねているのでしょう。10の短篇が収められています。表題作もいいのですが「四で割って」もいいと思いました。平井和正さんの解説もかなりな星新一論です。2014/10/27
S.Mori
37
ドタバタ色の強い星新一の短編集です。かなり可笑しい作品が多くて、大笑いしながら読みました。「心の残り」はハチャメチャな作品です。このぶっ飛んだ味わいがたまりません。死期の迫った男たちが女性にもてなかったことを悔いて、ハンサムでたくましい一人の男に生まれ変わります。見事に美女の心を射止めたのですが、思わぬことが判明して……。「ふーん現象」も笑える作品です。どんなことにも驚かず「ふーん」という人たちが増加します。医師たちは必死になって解決策を模索するのですが……。皮肉な幕切れに思わず苦笑しました。2020/09/10