内容説明
一年中花が咲き、マンゴやパパイヤがたわわに実る夢のような島―それこそ亡き父が幼い頃に話してくれた“天国にいちばん近い島”にちがいない…。まだ、外国へ行くのが難しかった時代、思いがけない人の善意から、南太平洋の島ニューカレドニアへ旅立った「私」はさまざまな体験をする。さわやかな「私」の行動が、爆発的人気を呼んだ“夢の配達人”桂のロングセラー旅行記。
目次
ずっとずっと南の地球の先っぽに
天国にいちばん近い島がある
丸ビルの中で“神さま”に会う
いざ、借金
処女航海船サザンクロス号出港
船は赤道を越え、はるか南十字星を望む
フランボワイアンの花に誘われて密入国
しだいにおそう幻滅
ホテルの夜とレセプション
3千円のホテルで1食40円の食事
ひとりさまよう異国の町
島の人に案内された家
あこがれのヤシの実を飲む
とつぜん社長の帰国命令を受ける
ビフテキとヒマシ油による“拷問”
ひとことの“ボンジュー”が招いた情け
ウベア島への親善旅行
南太平洋より「新年おめでとう」
レモの演説
父に挨拶
夕焼けに指笛が鳴る
さようなら、ニューカレドニア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
125
著者に縁のある人からの紹介で読む。1966年出版で一世を風靡した作品。亡父が語った「天国にいちばん近い島」がニューカレドニア島だと信じた24歳の女性が、持ち前の無鉄砲な行動力で渡航を実現し、半年間暮した記録である。多くの善意や誠意やユーモアに溢れたハラハラ・ドキドキの旅行記。でも一方で、著者は、フランスに支配される現地人の悲哀を鋭い感性で見抜いている。現代の私たちは、多幸感溢れたこの著者が、40年後に自ら命を絶ったことを知っている。明るさ満載の本書の中にも、著者の脆く崩れやすい優しさや哀しさが潜んでいる。2023/05/15
らむれ
66
フランスにいるとき翻訳の授業で数ページだけ読んで「私は父に幸せな娘になるように育てられた」という一文にすごく感動して、いつか全文を読みたいと思っていた作品。これ、私の人生を変えた一文だと思う。読んでみて、桂嬢と自分の共通点に驚いて一気にのめり込む。文章としては拙いし正直すぎるけど、若い女の子の素朴な感動が良く伝わってきて元気をもらえる。どんなけ嫌なことがあっても自分に失望しても、底抜けに明るい彼女は切り抜けていく。決してスマートではないけれど、何とかなってる。彼女は、幸せになるように育てられたから!2015/08/28
HIRO1970
32
⭐️⭐️⭐️もうすぐ半世紀経ってしまうので、もう古典的名著の部類なのかも知れません。映画化もされているので書名は知ってはいましたが手に取ったのは今回が初めてでした。不器用で社会人になっても上手く馴染めず、社会不適合者の様になってしまった著者が、若くして亡くなられた父が子供の頃に話してくれた南洋の果てにある誰もが幸せに暮らしている太陽に一番近い幸福な島のおとぎ話に想いを馳せてしまいます。世間知らずで無鉄砲なお嬢さんですが、最近はあまり見聞き出来ない様なピュアで無垢な彼女の性格の波長があちらの世界では・・・。2014/05/08
なる
29
小説家の父親が生前に語っていた「天国にいちばん近い島」を求めて、太平洋のニューカレドニア島を夢見た作者。海外旅行が一般的でなかった時代にお金も伝手もないところから、驚くような行動力で島行きの切符を手にしてたどり着いた現地で直面した絶望的な現実と向き合いながら、持ち前の明るさで色々な良縁に出逢い、灰色だった島の生活が次第に極彩色へと変わって行く。現地における社会的な背景をリアルに描いており、ただの滞在記だけでないのも注目。ただサブタイトルが今だと問題あったりする気がする。題名からは想像できないヘヴィな実録。2022/07/23
mayu
24
再読。まだ海外旅行が一般的なものではなかった時代。父の天国にいちばん近い島という言葉を信じて、ニューカレドニアを目指した旅行記。社長に船に乗せてくれと手紙を書いて直談判、ウベア島の原住民の生活に体当たりで飛び込むなど、森村さんの行動力はすごい。旅先で盲腸になるなど苦労もしつつ、辿り着いたウベア島で天国をみた。危なっかしいところがあっても、持ち前の明るさで現地の人たちとふれあい、受け入れられ、忘れがたい場所になる。当時の表現もあり難しかったのだろうけど、絶版になってしまったのはなんとも惜しい。2019/11/24
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