その犬をください

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  • サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041177075
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

『同志少女よ、敵を撃て』著者の最新作。近代日本と戦争を巡る人と犬の物語。

1. 未開の咆哮/明治初期の東京府。御雇外国人として開成学校の教師に着任した英国人のジョージは、自分を見るや吠えかかる日本の野良犬たちに手を焼いていた。生徒であり通訳を務める士族の青年・藤川、そして祖国から連れてきた愛犬チェスターとローラを生活の支えとしていたジョージだが、ある日の夕暮れ時、帰路につくため駕籠を待っていたところ突然現れた浪人に立ち塞がれ――。

2. 忠犬誕生/昭和7年、渋谷駅。乗降客の間に混じって人待ち顔の老犬がいる。この犬についての新聞の小さな記事は、想像を超えた「ハチ公」ブームを作り出した。しかしその物語は記事のきっかけを作ったはずの日本犬保存会の会長・斎藤弘吉の想像を超え、動物愛護や映画産業に身を浸す人間を巻き込み、国家の思惑を含んで加速し、現実を超えてゆく。

3. 犬たちの戦争/アメリカとの戦争が始まった。熱烈な軍国少年となった坂間明は、いつも愉快な空想話を聞かせてくれた平吉兄さんが笑顔を失っていくことだけが気がかりだった。そんな折「犬の供出運動」が始まり、坂間家もお国のために愛犬ドーラクを差し出すように促される。明の父はあの手この手で供出を断るが、ついに巡査が家を訪れて説得をはじめる。

4. スランプ/令和の初夏。念願叶って進学校に入学した高校生の楓は、突然学校に行けなくなった。「戦争」という言葉が頭について離れず、自分を押しつぶしてゆくような恐怖を感じるのだ。家で飼っている引退警察犬リッキーも自分と同じく元気を失っており、楓はその世話をすることで気を紛らわせていた。しかしある朝突然、同級生の三門澄が家を訪れ、学校を休んでどう思ったかを問われて――


【目次】

1. 未開の咆哮
2. 忠犬誕生
3. 犬たちの戦争
4. スランプ

内容説明

近代日本の歴史的転換点。そのとき、人と犬は?『未開の咆哮』明治初期の東京府。教師に着任した御雇外国人のジョージは、士族の青年・藤川の助力で異文化の暮らしに慣れてきた頃、突然現れた浪人に立ち塞がれ―。「犬は人間社会を映す鏡だ」。『忠犬誕生』昭和7年、渋谷駅。乗降客に混じって人待ち顔の老犬がいる。一つの新聞記事から始まった〈ハチ公〉ブームは、人間の欲望を巻き込んで加速し、現実を超えてゆく。「動き出したお噺は、誰にも御することができないんです」。『犬たちの戦争』アメリカとの戦争が始まり、熱烈な軍国少年になった坂間明は、「犬の供出運動」によって愛犬ドーラクを差し出すよう促される。「何が何でも皆さんの犬をお国へ献納して下さい」。『スランプ』令和の初夏。高校生の楓は突然学校に行けなくなった。「戦争」という言葉が頭から離れず、自分を押しつぶすような恐怖を感じるのだ。「戦争が怖くて学校に行けないなんて『変』だ」。時代を超えて繋がる4つの物語。

著者等紹介

逢坂冬馬[アイサカトウマ]
1985年埼玉県生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。2021年『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞してデビュー。同書は2022年本屋大賞、第9回高校生直木賞を受賞、第166回直木賞候補となる。2024年『歌われなかった海賊へ』が第15回山田風太郎賞候補となる。2025年『ブレイクショットの軌跡』が第38回山本周五郎賞候補、第173回直木賞候補となる。同書は2026年第13回高校生直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

78
「未開の咆哮」(明治初期)、「忠犬誕生」(昭和初期)、「犬たちの戦争」(戦時中)、「スランプ」(現代)。東京を舞台にした4話の連作短編集。歴史の話は苦手なので1話にはあまり惹かれなかった。が、読み進めるにつれ、犬目線で書かれてはいないのに人を客観的に描くその視点が面白くなってきた。ところが4話になり主人公の気持ちが前面に押し出されてくる。「戦争」ここですべてが繋がるのだ。カドブンの解説を見てこの違和感こそがこの作品の軸なのだと知る。ずっと追いかけてきた作家だがこの作品が一番良かった。2026/09/24

とも

30
犬好きならジャケ買い必至の装丁。戦争と犬を巡るアンソロジー、時代もテーマも振り幅の大きい4篇が収録されている。 『未開の咆哮』明治の初めに英国から訪れた教師の話。日本の野犬と洗練された英国の牧羊犬を対比させながら、いつまでも純粋なままではいられない日本の学生たちの姿を描く。国が大人になるということなのか。現代の価値観では測れないものを感じた。 『忠犬誕生』ハチ公像が渋谷駅に建つまでの経緯。どこまでが史実なのかはわからないが、人間の身勝手さに触れてうすら寒い気持ちになった。 この二篇が強く印象に残った。2026/09/24

よっち

22
近代日本と戦争。明治から令和までの4つの時代を通じ「人と犬の関係」から近代日本の歩みと戦争の不条理を浮き彫りにした連作短編集。明治初期、御雇外国人に着任した英国人と日本の野良犬たち。昭和初期渋谷駅の想像を超えたハチ公ブーム。戦時中犬の供出運動で愛犬を差し出すように促される少年。令和の戦争に恐怖を感じて不登校となった女子高生と引退警察犬。大義名分で個人の愛着や生命が踏みにじられる戦争の残酷さを突きつけられましたが、不登校の高校生が前を向く姿には、パートナーとして犬と歩む現代の温かな光を感じさせてくれました。2026/10/14

Pa-Po

19
サイン会に間に合うようにと読了。素晴らしかった!歴史小説としても戦争小説としても、そして犬の小説としても。展開もそうなるのか!と何度も驚かされた。 帯の通り、『今最も読まれるべき』に異存ないです。そういう意味でも本屋大賞ノミネートされたらな、いや、さっさと逢坂先生に直木賞あげたほうがいいな、とも。特に若い人たちに読んでもらいたい一冊です。2026/09/21

TAKA

15
戦争が行われていた陰で、犬や猫などを戦地に送っていたと言う事実に衝撃を受けた。2026/10/04

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