出版社内容情報
たとえば愛し合うカップルがいたとする。二人には何か問題があって、悩み、すれ違いながら、それでも答えを出そうとする。その結果が「幸せ」でも「別れ」でも。そんな二人の元に軽トラが唐突に突っ込んでくる短編集
内容説明
たとえば愛し合うカップルがいたとする。二人には何か問題があって、悩み、すれ違いながら、それでも答えを出そうとする。その結果が「幸せ」でも「別れ」でも。そんな二人の元に軽トラが唐突に突っ込んでくる短編集。
著者等紹介
加藤よしき[カトウヨシキ]
1986年生まれ。福岡県北九州市出身。会社員として働く傍ら、2016年にWeb小説投稿サイト「カクヨム」に投稿をはじめ、今作で作家デビュー。映画ライターとしても活動し、22年には『読むと元気が出るスターの名言ハリウッドスーパースター列伝』を刊行した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
7
全裸中年男性文学って要はすっごいメタルじゃん。しかも、スラッシュ系と言うよりはKorpiklaani やSabatonといった、ちょっとファニーで突っ込み所があるタイプのやつ。いい感じの雰囲気なカップルを全裸中年男性が「これも仕事なんよ」とボヤきながらトラックで突っこみ台無しにする短編は微笑ましさすら感じてしまうが、ラストに私小説的な語りが出てくるのは驚いた。、アグレッシブな楽曲がひたすら続いた後、急にしんみりとしたバラードが始まる様な驚きと同時に、曝け出された感情には現代的ペーソスを感じてしまった。2025/03/19
ボンタンパンチ
3
いい感じのカップルに全裸のおじさんが乗る軽トラが突っ込んでくるみたいな短編集。ありがちな設定の中にトンチキな要素をぶっこむことで妙な化学反応が生じて深みが出ているような気がする。最後の話はそれらとはまた違った語り口で、不覚にもジーンとしてしまった。2025/04/17
ドント
2
カクヨムに書かれた、「いい雰囲気になっている人の所に、おじさんが運転する軽トラが突っ込んでくる」という概要の話が並ぶ連作短編集。軽トラでなく殺人ザリガニが来る話も例外的に1本収録。なお軽トラネタは2013年から書かれており、熟成した年代モノである。一発ネタに見せて腰の重い、体幹の太い文章と心情描写で物語が紡がれており、そこに軽トラが突っ込んでくるので一種の破壊的な爽快感がある。そして最後の短編で語られる軽トラおじさんの真実。本書は魂から絞り出された短編集なのである。正直少し泣いた。あなたの心に響く一冊だ。2024/12/30
ぱ隹越九朗
1
軽トラと遊び心と「好き」の感情が詰まった6つの物語の中でも、最後の「ぼくとおじさんのバラッド」は頭数個抜けて良かったなぁ。会社勤めで精神をいわした青年と全裸中年なのにどうしてこんなに青春の味がするのか。全くわからないが何か凄いことが起きている……。いい雰囲気の男女に軽トラで突っ込むおじさんに説明がついてしまう、不条理の一端が明かされてしまう寂しさ以上に、物語を紡ぐことへの特大のlove……を感じた。大変良かったなぁ……2025/03/20
出口求
1
加藤よしきさんは映画評論で知っていましたが、ここまで良い作品を書けるポテンシャルのある方だとは!来年も一冊本を出したい!とおっしゃっているので期待しています。オムニバス形式の本作はそれぞれ報われない人々がフォーカスされ、そこに必ず軽トラが出て来ます。最高です。そしてラストの作者の自著伝的作品では思いっきり泣かされます。買ってください!2024/12/29