内容説明
崩れゆく名門武家におこる小さな波乱を、側近の城士の目から語る「尼子悲話」。石田三成の軍勢に包囲され落城間際の伏見城で、四人の百姓足軽がみる一夜の夢と城抜け「闇の松明」。戦国の将卒の生と矜持を、さわやかな哀感をこめてみずみずしく描き出し、鮮烈なデビューをはたした著者の初期傑作短篇集。
著者等紹介
高橋直樹[タカハシナオキ]
1960(昭和35)年東京生れ。団体職員などを経て、92年「尼子悲話」で第72回オール読物新人賞を受賞。95年、同作収録の『闇の松明』が山本周五郎賞候補となる。96年「異形の寵児」が直木賞候補になり、97年、同作収録の『鎌倉擾乱』で第5回中山義秀文学賞を受賞する
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感想・レビュー
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エドワード
17
本能寺の変の直後、信長の嫡男・信忠が生きのびた!とんでもないフィクションに重ねられる黒田官兵衛の暗躍「闇に奔る」。関ケ原の一週間前、伏見城の戦いに巻き込まれた足軽たちの狼狽「闇の松明」。大坂の陣、西軍にただひとり加わった毛利方、佐野道可こと内藤元盛の運命「悲刃」。この人物は未知で非常に面白かった。そして高橋直樹氏のデビュー作「尼子悲話」は、毛利氏の前に中国地方に版図を築いた尼子氏の身内同志の戦い。儒学も武士道もない戦国時代、裏切るか裏切られるか、虚々実々の駆け引きに武士は生きねばならないのだ。2016/08/14
紅花
11
どの時代も、自分の所属で運命が決まる部分はあるのだろうけど、あまりにも本意では無い事に翻弄される話ばかりで、切なかった。戦国時代は色々本も出ていて、それなりに読んで、ちょっと飽きが出てきたと思ったけど、また新たな目で戦国時代を読めそう。高橋直樹さんの話はいつも迫力がある。2015/04/03
moopee
2
★★★★☆ 戦国残酷物語。捨て話ひとつもなし!『尼子悲話』ほんと悲話で泣ける。『闇に奔る』の官兵衛の冷徹ぶりとかたまらん。2009/01/03
えびえび
1
尼子悲話が好きですな~何度読んでも泣けます。他も歴史の闇に迫るといった感じで読み応えがありますのでオススメの一冊です。
リッチー。
1
部下の目線から戦国武将を描く短編集。黒田如水のようなメジャーどころだけでなく尼子晴久、鳥居元忠などを取り上げているのが目新しい。黒田如水には他の作品同様に謀臣のダークフォースが漂っている。来年の大河がこんな如水だと面白そう。2013/01/25