出版社内容情報
自身の身代わりとなった親友・セリヌンティウスを救うため、3日で故郷と首都を往復しなければならないメロス。しかし妹の婚礼前夜、新郎の父が殺された。現場は自分と妹しか開けられない羊小屋。密室殺人である。早く首都へ戻りたいメロスは、急ぎこの事件を解決することに!? その後も道のりに立ちふさがる山賊の死体や、荒れ狂う川の溺死体。そして首都で待ち受ける、衝撃の真実とは? 二度読み必至の傑作ミステリ!
内容説明
メロスは推理した―!自身の身代わりとなった親友を救うため、3日で故郷と首都を往復しなければならないメロス。しかし妹の婚礼前夜、新郎の父が殺された。現場は自分と妹しか開けられない羊小屋。密室殺人である。早く首都へ戻りたいメロスは、急ぎこの事件を解決することに!?その後も道のりに立ちふさがる山賊の死体や、荒れ狂う川の溺死体。そして首都で待ち受ける、衝撃の真実とは。二度読み必至の傑作ミステリ!
著者等紹介
五条紀夫[ゴジョウノリオ]
2023年、新潮ミステリー大賞の最終候補となった『クローズドサスペンスヘブン』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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麦ちゃんの下僕
147
あの太宰治の傑作短編『走れメロス』のほぼ全文を(順番の入れ替えはありつつ)概ねそのまま用いながら、合間合間に“殺人事件”を挿入するだけでまさかこれほど笑える“バカミス”になるとは!?(←褒めてます) 何といってもモブキャラのネーミングが酷すぎる!(←褒めてます)…特に第4話は近代文学の知識がある方は爆笑必至!? 探偵役を務めるメロスの“迷推理”に苦笑しつつも、原作以上にキャラ立ったメロスが良いですね(笑) 一方では「ダモクレスの剣」など勉強になるエピソードも…五条さん、侮れません!2025/04/11
yukaring
82
「何だコレ?!」と思わず突っ込みたくなるコメディ仕立ての『走れメロス』親友セリヌンティウスを救うために走らなければいけないのに、矢鱈めったらと殺人事件に巻き込まれるメロスに笑える。羊小屋の密室殺人、道中で山賊が殺される事件、荒れ狂う川の溺死体。推理など縁のなさそうなフィジカルで単細胞な正義の人メロスが何故かどの事件も見事に解決。そして首都についてからも待ち受ける試練。彼は親友と自らを救えるのか?イモートア、ゾクノボス、ミタンデスとユーモア溢れるネーミングにもニヤリ。こんなコミカルなメロスも悪くないかも。2025/04/16
cinos
66
「走れメロス」をパロディミステリにする発想がまずすごい。爆笑しながら一瞬で読み終えました。 「メロスは政治が分からぬ。哲学も分からぬ。数学も科学も分からぬ。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。それゆえ、 メロスは推理したーー」からメロスが解決する5つの事件。よくできてます。面白すぎ。2025/02/28
さっちゃん
52
お馴染み太宰治の『走れメロス』が下敷き。行く先々で事件に巻き込まれてしまう、メロスの新たな物語。妹に無事に結婚式を挙げさせ、王との約束の刻限までに王城にたどりつき、王に信実の友情を見せつけることが出来るのか?義務遂行の希望を失わず、さっさと走れメロス!/政治が分からぬのは同じでも、こちらのメロスは大抵のことは正義の心と拳とフィジカルで乗り切ってしまう。登場人物のネーミングが秀逸。カタカナ名前が苦手なのでありがたい。オサムスの著作名『人間◯◯』には笑ってしまった。すごくポジティブだわ。楽しい読書時間だった!2025/03/16
林檎
50
授業を受けた娘から『メロスってヤバいよね』と独特な感想を聞いたばかりでのこの本を読むと『うん、メロスヤバいね』ってなる(笑)。正義感とフィジカルだけで猛進するメロス(悪い奴じゃないけどちょっと厄介)。そんな彼をイマジナリーな存在になって冷静に軌道修正してくれる佳き友セリヌンティウスや、行く先々で出会う名前を聞いただけでどんな奴か分かる人々とのやりとり、面白かったー。好き嫌いが分かれそうだけど、私は大好きです。2025/04/06