出版社内容情報
「今宵は夜市が開かれる」。妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場では望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えにして、野球の才能を買った。おかげで野球部のエースとして活躍した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、裕司は再び夜市を訪れる。弟を買い戻すために。
内容説明
「今宵は夜市が開かれる」。妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場では望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えにして、野球の才能を買った。おかげで野球部のエースとして活躍した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、裕司は再び夜市を訪れる。弟を買い戻すために。
著者等紹介
恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京都生まれ。2005年本作で日本ホラー小説大賞を受賞。単行本はデビュー作にして直木賞候補となる。続く『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(角川文庫版は『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おっとっとっ
43
一時間ほどで読了してしまうほど面白い小説でした。ホラーというよりは、欲の恐ろしさ。という感じ。 切なくて美しい小説です。2024/05/08
❁Lei❁
25
100分で読めるかつ文字が大きいので、就寝前にぴったり。橙色のぼんやりした読書灯の下で、怪しげな夏の夜市に足を踏み入れ……。異界とつながっていて、形のないものでも何でも売っている夜市。そこに紛れ込んでしまった祐司は、弟と引き換えに野球の才能を買います。ノスタルジーを誘う幻想的な情景とは裏腹に、夜市のルールや伏線回収がしっかりしていて面白かったです。筆者の描きたいものをこれでもかと詰め込んだ、デビュー作ならではの輝きを感じる作品でした。ところで、本作にも負けないほど人気の「風の古道」は未収録なので注意です。2024/06/29
kouya
20
昔、読みたいと思っていて忘れていた「夜市」。同僚が購入したと聞き借りて読んでみた。夜市と聞けば思い浮かぶのは、映画の「DESTINY 鎌倉ものがたり」の中に出てくる妖怪たちが得体のしらないものを売買している場面。ほのぼのした場面はなく事態はどんどん深刻になっていった。幼い頃、兄弟で入り弟と引き換えに手に入れた野球が上手くなる才能。時が経つにつれて後悔し弟を買い戻す為に再び夜市に向かう兄。その後弟がどうなっていたか、聞けばよく頑張ったとしか言いようがないが、結局問題が解決?した後の兄弟はあれで良かったのか。2025/08/07
☆Ruy
18
100分はかからず60分くらい。ホラーと言う感じではなくおとぎ話のよう。幻想的で少し道徳的にも感じた。再び夜市に行く兄に付き合わされた女友達は才能と引き換えに弟を売った兄と売られた弟の物語を見届け記憶するのに必要だったのかな。 兄のこと最初はいやな奴だと思ったけれど、読み進むに連れて悲しい人だと思うようになった。夜市で出会った謎の老紳士が登場した時から気になった。なんだかヒーローのような気がして、二人がピンチになった時、助けに来て欲しいと読みながら思っていた。 切なさと希望が混ざった夢物語みたいな作品。2024/11/29
はるごん
15
ホラーは苦手だけど夏の冊子で読んだらどうしても読みたくなり購入。気付いたら夜市にいて何かを買わなくては出られない。ハラハラ怖くて一気読み。2024/08/27