出版社内容情報
世界に名高い浮世絵師ながら、正体が謎に包まれている東洲斎写楽――。蓮丈那智が古文書調査のため訪れた四国で、美術界を激震させる秘密に対峙することとなる表題作など、全4篇を収録。憑代とされた人形の破壊と惨殺事件の関わり、湖底に沈む鳥居は、事の発端なのか? 旧家に伝わる神像を破壊する祭祀と過去の因縁とは。異端の民俗学者の冷徹な観察眼は封印されし闇を暴く。はなれわざの謎ときに驚嘆必至の本格民俗学ミステリ!
内容説明
世界に名高い浮世絵師ながら、正体が謎に包まれている東洲斎写楽―蓮丈那智が古文書調査のため訪れた四国で、美術界を激震させる秘密に対峙することとなる表題作など、全4篇を収録。憑代とされた人形の破壊と殺人事件の関わり。湖底に沈む鳥居は事の発端なのか?旧家に伝わる神像を破壊する祭祀と過去の因縁とは。異端の民俗学者の冷徹な観察眼は封印されし闇を暴く。はなれわざの謎ときに驚嘆必至の本格民俗学ミステリ!
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年山口県生まれ。95年に『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。99年短編連作『花の下にて春死なむ』で第52回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。2010年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
92
「見える絵が見えなくなるとき、見えない絵が見えてくる」。写楽に関する本を探してこちらを。著者のこのシリーズは未読でしかも3作目だが、本格ミステリと民俗学に写楽という結び付きに惹かれて読んでみた。最初の短篇でキャラの特色と相関を掴む。探偵役である異端の民俗学者・那智と二人の助手役の掛け合いが良い。折口信夫のマレビト、憑代、鳥居の起源、伝承される数え歌など霊妙な不可思議さが語られる中、登場人物の人間味ある会話に和む。そして表題作の中篇が読み応えあり。最後に遂にと思わせるものがあった。シリーズ他作品も読みたい。2024/11/28
ま~くん
25
短篇4作品。題名の写楽・考が秀逸。民俗学の第一人者にして学界の異端児、蓮丈那智と助手2人の活躍で真相に迫っていく。個人的にはあまり聞き慣れない民俗学という学問。フィールドワーク中に次々と降りかかる不可解な出来事には時に歴史上の超有名人が絡んでくる。今回も最終話に東洲斎写楽やヨーロッパの知らない人はいない画家の名前が。歴史の闇や隠れた真実を那智の独自の解釈で炙り出していく様はとにかく面白い。日本史のありとあらゆる謎に向き合って欲しかったが、著者は既に他界されているとのこと。残念だが残りの作品も読んでみたい。2025/01/13
ぶんぶん
22
【図書館】蓮杖那智シリーズ、第3弾! 今回も面白い! こうなるかなって思うと引っくり返される、こうはならないと思うとスンナリいく、北森鴻に引きずり回される快感(笑) いよいよ、「佐江由美子」がレギュラー入り、別シリーズの「宇佐美陶子」の再登場、これで女三人衆が揃った、凄いメンバーだ。 そして、狐目の男の正体と本名も。 表題作の現れ方も秀逸である。 いよいよ、未完の絶筆作「邪馬台」へ手を伸ばすか・・・2024/11/06
ほたる
13
少しばかり長い表題作。そして読み終わった瞬間に傑作と確信する。蓮丈那智を含むキャラクターたちの魅力、事件解決に至るまでのミステリとしての秀逸さ、そしてなんと言っても民俗学の論考に基づいた圧巻の幕引き。ただただその凄さに茫然とする。2024/11/02
まいさん
11
異端の民俗学蓮丈那智とその助手たちがフィールドワーク先で巻き込まれる事件が、民俗学上の謎とリンク。その謎がそこにつながるのか!なるぼどなぁと、つい納得してしまい面白かった。シリーズの途中から手を付けてしまったので、シリーズ第1作や登場人物の別のシリーズも読んでみたいと思う。2024/06/20