出版社内容情報
脳科学者である中野信子とメディア・コンテンツの研究者ながらVtuber「ゾンビ先生」としても活躍する岡本健がゾンビというフィルターを通して社会を捉え直した1冊。
中野信子
「岡本先生とのセッションはとにかく毎回楽しくて、議論が発散して思考が拡がっていく喜びを味わいました。制限を受けずに知的遊びができる方に出会うことのできる機会はなかなかありません。対談が終わってしまうのは、なんだかさみしく感じられたものでした。きっとわたしは、あとで本書を何度も読み返して、『あんなことも話したかった、こんなことも話せばよかった』と思うでしょう」
岡本健
「中野信子先生とお話をした後は、いつも頭がアツくなります。(略)対談は三回にわけて行われたのですが、毎回話題がどこに転がるかわからないスリリングな時間であるとともに、『どっちに転がっても面白くなる』という安心感がそこにはありました」
【内容について】
本書では、ホラーエンタメとしてのゾンビ映画の歴史を辿りながら、それがどのように社会を映し出す鏡となってきたのかを考察。ブードゥー教に端を発するゾンビが、科学の力で生み出される存在へと変化し、さらには「走るゾンビ」や「意識を持つゾンビ」が登場する中で、人間の階層社会や個と集団の関係性、そして現代人の「思考停止」や「リセット願望」といった心理が浮き彫りになります。
「ゾンビは、人間社会の歪みを鮮やかに描き出す媒介変数である」と語る二人の知的なセッションは、時に脱線しながらも、人間がなぜ物語を必要とし、変化を求めるのか、そして「終わりなき日常」をどうサバイブしていくのかという根源的な問いへと繋がります。ゾンビを介して、人間と社会の奥深さを探求する一冊です。
【目次】
はじめに 中野信子
第1章 「ゾンビ学」ってなんですか? ~恐怖エンタメに人間が託すもの~
・世界で愛される「ゾンビ」コンテンツ
・神話に取って代わった科学
・ゾンビ学は人間学
・人間よりゾンビのほうが進化的かもしれない
・フィクションとしての自分設定
・ゾンビとジェンダー etc
第2章 階層はなぜ生まれてしまうのですか? ~わたしたちはゾンビになりたいのかもしれない~
・社会を映す鏡としてのゾンビ映画
・「明日は今日より必ず暗い」という絶望
・生贄を必要とする脳
・間違えたくない若者
・「とんでもないことになるぞ」の先
・リセット願望 etc
第3章 死にたくなるほどツライ現代をサバイブする ~終わりなき日常を乗りこなす~
・コミュニケーションに相手の意思は必要か?
・みんなが求める解の在り処
・圧倒されると自己認識が変わる
・物語は人類が死に絶えないための装置
・胸糞系コンテンツの魅力
・人間の一番の敵は「自分」かもしれない etc
おわりに 岡本健