出版社内容情報
2022年の大河ドラマで描かれた、いくつもの野望と愛が交差する鎌倉時代。そんな武士の世への転換点を駆け抜けた人々――源頼朝、北条政子、後鳥羽上皇、和田義盛、そして北条義時。歴史小説の名手たちが彼らの面影を丹念に描き上げた珠玉の小説集! 義時の恋が、政子の激情が、鎌倉の光景をありありと蘇らせる。
内容説明
激動の時代を駆け抜けた男、北条義時の数奇な人生。(「恋ぞ荒ぶる」)。若き日の後鳥羽上皇が出会った悲恋の姫の行く末。(「人も愛し」)。一幅の仏画に託された源頼朝の妹・有子の切なる願い。(「さくり姫」)。猛将・和田義盛が突き止めた討つべき“真の悪”とは。(「誰が悪」)。尼将軍こと北条政子が挑む、朝廷勢力との最後の闘い。(「女人入眼」)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に絡んで出されたアンソロジーだと思います。私はテレビドラマまして大河ドラマは殆ど見ないのですがこの主人公についてはあまり知らなかったということと地元の人間として楽しんでいました。朝井さんの話はその流れを概観するようで最初に読むには適しています。その他は後鳥羽上皇あるいは政子、和田義盛などが主人公となっていてそれぞれ手練れの作者が書かれているので興味深く読みました。2023/08/01
シナモン
121
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のおさらいといった感じで楽しく読みました。政子ってやっぱりああいうイメージの人だったのね。2023/02/22
モルク
114
5人の作家さんによる鎌倉の歴史小説アンソロジー。どうしても大河ドラマを意識してしまう。特に朝井まかてさんの「恋ぞ荒ぶる」は「鎌倉殿…」の最終回を前におさらいをしているよう。全ては政子の恋から始まった。そして最後は坂東武者を前にして尼将軍の大演説で終わる。ドラマを見ている人には駆け足過ぎて少しものたりない。武田佑さんの「誰が悪」は和田義盛が主役でちょっと嬉しい。葉室麟さん「女人入眼」これもまた政子の強さが見えてくる。2022/12/18
じいじ
73
鎌倉時代を舞台に5人の作家が描いた物語。澤田瞳子、武川佑は未読。お気に入りを1篇選べば、朝井まかて【恋ぞ荒ぶる】。北条氏の里ー天城山系を源にする狩野川が流れる伊豆が舞台。ここは、祖父が97歳まで住んでたので何十回も訪れた懐かしい思い出がつまった地です。朝井さんの情景描写は、昭和時代でも長閑な感じはそのままでした。主人公は20歳と5歳違いの姉弟。その姉にようやく訪れた縁談話です。わが息子に迎えたいほど律儀な弟・小四郎は、姉のために一肌脱ぎます…。初読みの澤田瞳子の直木賞作『星落ちて、なお』は読んでみたい。2025/01/20
ケイト
69
5人の作家の歴史アンソロジー。いい国つくろう鎌倉幕府(1192年)が本当は1185年だったと知った今年。政子が頼朝に恋をしたことで始まる北条家の執権への道。坂東の田舎武者の運命が変わったのは、すべて頼朝のせい。男達が戦いで作りあげる世の中に、抗うことが出来なかった女達の目に悲哀の色が深く漂う。鎌倉を女系で繋ぐ政子の夢は少しは叶ったのか?朝井まかてさんの「恋ぞ荒ぶる」は鎌倉殿の総集編だった。初めて読んだ作家さんは、朝井さん、諸田さん、武川さん、次は長編を読んでみたいです。2022/12/22