出版社内容情報
藩費留学生として渡米した島津啓次郎は、はじめて耳にした黒人霊歌に胸を打たれる。しかし、帰国した彼を待ち受けていたのは西南戦争の戦火だった(「ゴスペル・トレイン」)。上野戦争での敗北後、死に損なった元旗本の彰義隊士・伊奈弥二郎は、ハワイに渡って再起をはかるが、折しも革命の喚声があがろうとしており……(「虹の国の侍」)。神戸で生まれ育ったヴィーナは、太平洋戦争のさなか、自由インドの女性部隊ラーニー・オブ・ジャンシー連隊に従軍することで、未だ見ぬ祖国を目指した(「進めデリーへ」)。19世紀、そして20世紀は、それぞれの国家と国民が文字通り銃火を交えながら「激突」して新しい歴史をつくりあげていく時代であった。直木賞受賞作『熱源』で、樺太アイヌとロシア、日本の「激突」を描いた著者が、より大きな視点で描く歴史小説の新地平。
内容説明
国と国の歴史が激突するその瞬間、その時代を活写した5つの物語。明治維新から太平洋戦争まですべての希望と絶望を乗せて、その列車は走る―日本史が世界史と激突する瞬間のきらめく5つの福音を、直木賞作家が描く!
著者等紹介
川越宗一[カワゴエソウイチ]
1978年鹿児島県生まれ、大阪府出身。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。19年刊行の『熱源』で第9回本屋が選ぶ時代小説大賞、第162回直木賞を受賞。23年に『パシヨン』で第18回中央公論文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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