出版社内容情報
織田信長に仕え、千利休に師事した古田織部。武人であり茶人としても名を遺した彼にはたったひとりの妻がいた。戦国武将・中川清秀の妹、仙。幼い頃に戦の混乱で家族と離れ離れになってしまった彼女は、叔父の城で少年高山右近と出会ったことをきっかけに、キリストの教えを心の支えとする。古田織部との政略結婚を通じて、二人は信長、秀吉、家康とめまぐるしく変遷する戦国の世を駆け抜けながら、共通する志を抱く夫婦となってゆく。二人が命と引き換えにしても守りたかったものとは──。
内容説明
戦国武将・中川清秀の妹、仙。幼い頃に戦の混乱で家族と離れ離れになってしまった彼女は、叔父の城で少年高山右近と出会ったことをきっかけに、キリストの教えを心の支えとする。古田織部との政略結婚を通じて、二人は信長、秀吉、家康とめまぐるしく変遷する戦国の世を駆け抜けながら、共通する志を抱く夫婦となってゆく。二人が命と引き換えにしても守りたかったものとは―。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡市生まれ。1996年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で吉川英治文学新人賞、07年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞、12年『四十八人目の忠臣』で歴史時代作家クラブ賞、18年『今ひとたびの、和泉式部』で親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
129
古田織部とその妻・仙の生涯。物語は仙の語り・・既に亡くなっている夫・織部に語りかけ会話する本作。政略結婚だったが、出会いから好ましい二人の関係、戦国時代と言う枷にもかかわらず夫婦愛が素敵だった。仲睦まじく対等に語り合う姿、思いやり、家族、信仰・・抱えて繋げていく想いに天晴れと言おう。久しぶりの諸田さん、やはり活き活きと女性を描くのが上手い。2025/04/28
優希
53
面白かったです。古田織部の栄光と悲劇の生涯を妻の仙の目線で描いていました。仙が織部に語りかけ、会話していく夫婦愛が素敵です。政略結婚ながらも2人の関係が好ましいものであったように感じました。お互いが尊重しあっていて好感が持てます。戦国時代は戦だけではない魅力があるのですね。2025/08/14
kawa
40
戦国世の古田織部一族の栄光と悲劇を、奥方の「仙」の語りで描く歴史小説。登場人物の多さと、戦国前期の摂津・郡山合戦の解りにくさが読みの妨げになるのが玉にきずなのだが、そこを我慢して読み継ぐとはまってしまう面白さかな。昨年掲載の日経の新聞小説「登山大名」は、本書の後の岡藩・中川家のドラマをを描いているのですね。こちらも今年秋に単行本化のようなので改めて読むことにしよう。2025/06/15
neimu
31
妻の側から見た夫婦の物語、にしたかったからこの表紙なのだろうが、少々違和感。亡き人と心で語るには随分なまめかしい語り口。会話は想い出の中で反芻され、その折々、年月を経て何層にも重なり、行きつ戻りつの語り口になるのだろう。それを面白く感じる人もいれば、しつこく、それこそ犬も食わない夫婦げんかの域に思える部分も多々。戦国時代の歴史をよく知る人から見れば、複雑な人間関係も楽しく突っ込みどころ満載だろうが、私個人には読み進めるのがしんどかった。まあ、仲の良い夫婦像が実像かどうかはともかく、ご馳走様の気分。2025/08/17
baba
31
信長に仕え、利休に師事した古田織部を妻の仙から見た織部の栄光と歴史の飲み込まれた生涯を描く。政略結婚でありながら、互いを理解して尊重しあう二人の語り合いが心地よい。仙の少女時代の高山右近との出会いや織部焼しか知らなかった織部のエピソードも興味深い。2025/07/13