出版社内容情報
文化十年、江戸飯田町の小さな家屋で、作家・滝沢馬琴は画家・葛飾北斎に語り出した。宿縁に導かれた八人の犬士が悪や妖異と戦いを繰り広げる『南総里見八犬伝』である。落城寸前の安房・滝田城で、時の城主・里見義実が一縷の望みを愛犬・八房に託したことをきっかけに、里見家の運命が動き出す――。闊達自在な伝奇「虚の世界」と、執筆への執念を燃やす馬琴を綴る「実の世界」を、緻密な構成で見事に交錯させて描いた傑作。
内容説明
文化十年、江戸飯田町の小さな家屋で、作家・滝沢馬琴は画家・葛飾北斎に語り出した。宿縁に導かれた八人の犬士が悪や妖異と戦いを繰り広げる『南総里見八犬傳』である。落城寸前の安房・滝田城で、時の城主・里見義実が一縷の望みを愛犬・八房に託したことをきっかけに、里見家の運命が動き出す―。闊達自在な伝奇「虚の世界」と、執筆への執念を燃やす馬琴を綴る「実の世界」を、緻密な構成で見事に交錯させて描いた傑作。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大学卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年「甲賀忍法帖」を発表し忍法ブームに火を付けた。97年、菊池寛賞を、2000年、第4回日本ミステリー文学大賞を受賞。01年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
120
上下巻の上 最近映画化された(未見) 馬琴と北斎が話している実の世界と八犬伝の虚の世界が交互に描かれる。 良く知られた物語を語る上での工夫ですね。 面白いです。さすが2024/09/28
納間田 圭
110
首を持ってきたら伏姫をお前の嫁にやろう。精も根も尽きた城主が…飼い犬につぶやいた戯言。で…本当に敵の大将の首を持ってきた妖犬”八房”。戦も大逆転勝利してしまった。そりゃーいろいろあったが約束通り…八房の花嫁となった”伏姫”。やがて…伏姫は八房の子を身籠った。伏姫が世を去る時…天に散っていった八つの光る玉。上巻は…その玉を持つ剣士(犬士)がひとり一人集まりだす展開。名前と所持する玉を整理すると…犬塚信乃…孝、犬川荘助…義、犬坂毛野…智、犬飼現八…信、犬村大角…礼、犬田小文吾…悌、犬江親兵衛…仁、犬山道節…忠2024/12/08
saga
62
2011年『みをつくし料理帖シリーズ』で時代小説の面白さを知り、翌12年に『鬼平』で池波正太郎にハマり、藤沢周平、岡本綺堂と読み継ぐ。その中で山田風太郎のことを知ったが、なかなか手が出せなかった。この度、角川文庫が本書を文庫化してくれたことで、ようやく読むことが叶った。虚の世界として南総里見八犬伝が読め、実の世界で戯作者・馬琴と北斎の不思議な交流が読めて大満足。いずれ代表作ともいえる『忍法帳シリーズ』も読みたい!2023/01/21
猫ぴょん
51
八犬士の話しだけじゃなく合間合間に挟まれる馬琴と北斎の会話が面白い✨馬琴が北斎にあらすじを少しづつ語るんだけど、なにせ年月が年月だからー😅何十年だもんね。お互いの近況や家族の話しも興味深い✨ もちろん八犬士の話しも面白い☺ 児童書4冊とほぼ同じ内容だけど微妙な違いがなかなか良いのよねー♪下巻へGO✨ 2023/07/07
紅香
28
『私は結局正しい者が勝ち、悪は罰せられる善悪ともにその酬いは必ずあるという世界をえがくのが目的でかいているのだとあらためて答えよう』滝沢馬琴と葛飾北斎との語り『実の世界』と創作、里見八犬伝の『虚の世界』で構成されている本書。そして作者の思考も入り混じり、重厚さを増す。虚の世界、八犬士であることの因縁の深さ。その伏線は舌を巻くほど巧妙に語られる。江戸町から一歩も歩かない馬琴の頭の中で作り出される虚はどこから湧いてくるのか。。不思議がる北斎さながら共感しきり。勧善懲悪。これは誰もが好きな展開。下巻へ。2023/03/15
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- 和書
- 幻の終わり 創元推理文庫