出版社内容情報
圧倒的「数覚」に恵まれた瞭司の死後、熊沢はその遺書といえる研究ノートを入手するが――冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛!選考委員の圧倒的評価を勝ち取った、第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作!
内容説明
圧倒的「数覚」に恵まれた三ツ矢瞭司、同じく特別推薦生として数学科に入学した熊沢、佐那の3人は、共同研究で画期的な成果を上げる。瞭司が初めて数学の美しさを他者と共有できた瞬間だった。しかし瞭司の才能は、築いた関係性を破壊していく―瞭司の死から6年、熊沢は遺されたノートに、未解決問題の証明らしき記述を発見する。第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
著者等紹介
岩井圭也[イワイケイヤ]
1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
401
岩井圭也は初読。この作品が彼の第1作であるらしい。実に鮮烈なデビューである。これまで誰にも書かれることがなかった小説世界がまさにこれである。数学の世界を描くことで、この小説は無限に広がる翼を持つことができた。コラッツ予想にはじまり、それはどこまでも翼を広げてゆく。物語としてそれを支えるのが、主人公の瞭司、熊沢、佐那の3人の造型であり、その関係性である。数学的真理を直覚する瞭司、苦闘する熊沢、遊泳するかのような佐那。数学の美しさに依拠しつつ、小説の新たな可能性を指向し、示唆する作品がこれである。2023/12/06
道楽モン
107
岩井圭也のデビュー作は、数学をテーマとした青春小説であった。凡庸な恋愛モノではなく「天才と凡人」「孤独と友情」を描いた、哀しく切ない話だ。映画『アマデウス』の嫉妬する展開、『ガラスの仮面』でのライバル関係という構図ではなく、本物のギフテッドに対して、語り手はもう距離を置かざるを得ない状況となるが、天才の遺した歴史を変える可能性を秘めたオリジナルな新しい数学理論を世間に紹介する役割を担うことで、二人の友情をつなぐ。実在の天才数学者・望月新一の提唱する宇宙際タイヒミュラー理論によるABC予想証明がモデルかな?2024/07/03
aoringo
85
数学に全てをかけた一人の天才の人生。寝ても覚めても数学のことだけを考えていた田舎の高校生。大学で恩師や親友に囲まれ好きなだけ学問に打ち込むようになる。孤高の天才が転落していく様は読んでいて辛かったけど、彼の魂は数学者達の中でこれからも生き続いていく。人間の弱さや許しも描かれていて、とても心に響いた作品でした。作者のデビュー作で、解説は森見登美彦先生です。おすすめ!2024/09/14
mihya
81
熱い話だった。夭逝した天才の情熱と孤独と彼が信じた真理。友情と嫉妬。アカデミアの世界のリアルとロマン。いや、ホントに熱い話だった。 5年かかって数学科を出た私には、『数覚』はなかったんだろうな。でも『楽しいから数学をやっているだけ』という言葉には心を打たれた。入学したときは皆そう思ってたよなぁ。2023/06/05
相田うえお
78
★★★☆☆23074【永遠についての証明 (岩井 圭也さん)k】初読み作家さん。本作品、並外れた才能を持つ天才数学者だった三ツ矢瞭司が遺したノートを、友人である数学者の熊沢が見つけたというシーンから始まります。そこに書かれていたのは、未だに誰も証明出来ない『コラッツ予想の肯定的証明』この瞭司の遺産を熊沢は数学会に送り出してやろうとするのですが、内容は数学者でも理解できないほど神がかり的なもの。熊沢は...。彼らの学生時代と社会人となった現在を交差しながら話は進みます。いや〜天才の末路って哀しい〜。2023/11/10
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