出版社内容情報
私の職業は小説家である。ベストセラーとは無縁だが、一応、生活はできている。そして出版業界に長年関わっていると、様々な小説家に出会う。そして彼らは、奇人変人であることが多く、またトラブルに巻き込まれる者も多い。そして私は幸福な作家というものにも出会ったことがない──。
そんな「私」が告発する、世にも不思議な小説家の世界。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
164
『小説家は小説よりも奇なり』そう帯にある。山白朝子が明かす、7つの密告ーふふ、どれも面白く読んだ。色んな怖い小説家の中で、印象に残ったのは・・『小説家、逃げた』もう決して逃げずに済みますように。『ある編集者の偏執的な恋』これは女が強かで恐すぎる。そして一番好みだったのが『精神感応小説家』良いラストで締めた感じ。装画も面白くて好い。2023/07/24
おしゃべりメガネ
120
山白さんらしさ全開で期待を裏切らない短編集でした。山白さんなのか乙一さんなのかはさておき、スタンダードなヒヤッとする話をしっかりと書いてくれていて、タイトルどおり、あらゆる小説家のちょっと不思議な出来事を綴っています。相変わらず彼の才能のスゴさには圧倒されますし、本当にどうしたらこういう話が書けるのだろうとただただ驚愕です。昔ほどのインパクトは薄れた感は否めませんが、やっぱりさすが山白さんという一冊でした。個人的にはラストの話が温まってステキだなと。ある編集者の話はタイトルどおり偏執的でヒンヤリしました。2023/07/30
ケイ
98
山白朝子は、彼のどのタイプの顔なのだったっけ。この短編集の雰囲気からするとオカルトかしらね。作家同士の関係、編集者との関係、そしてその周辺の出来事が描かれる。どの作家もその作家なりの書く苦しみを抱えているものだろう。かれの手にかかると、作家間の書くことに対する姿勢や、互いへの妬みや興味、また編集者との関係がサラリとオカルトになる。ディストピアやミステリでなく、オカルトだ。そう思うと、本のカバーもまた不気味さを増す。こちらを執筆中は、ら編集者さんはどんな顔で現行を受け取ってきだろ。2023/09/20
美紀ちゃん
92
連作短編集で、どれも良かった。自分で骨折とか、え?小説を書くために骨折を体験するほど、切実なのか?小説家という存在は、目に見えない内面の部分に、歪みを抱えている者が多い。精神面の欠陥、あるいは破綻した人格、それらによって普通の生き方をできなかった人間。チーム!だよね。チームで小説を書いている作家いると思ってた。スターシステム→同じ絵柄のキャラクターを俳優のようにあつかい様々な役柄で作品に登場させる表現スタイルのこと。「偏執的な恋」は、ラストが驚きだった。怖い。精神感応この話は、幸せな結末で良かった。2023/07/24
ままこ
81
小説家に纏わる業。作家の「私」が集めた七つの奇妙な物語。完全に常軌を逸した『墓場の小説家』。『キ』歪な矯正もゾッとするけど、あの呪いの小説の原因には怒りしかない。『脳内アクター』作家にとっては上手い方向に進んだけど、結果として大切なものを見失う。サスペンス調の『小径の怪人』と『ある編集者の偏執的な恋』は意表をつく展開で面白かった。一番良かったのは『精神感応小説家』N君の人柄の良さと精神力がこの物語の肝で、清々しい読後感。狂気と正気の境界を絶妙なタッチで描く山白ワールドを楽しめた。2023/10/05