内容説明
日本橋の葉茶屋“森山園”に奉公する仁太郎は、誰よりも故郷の宇治茶を愛していた。優れた味覚と真摯な働きぶりが大旦那の太兵衛に認められ、やがて上得意である旗本・阿部正外との取引を任されるようになる。一層商売に精を出す仁太郎だったが、ある日店の秘密を知らされて…。折しも時代は激動の明治維新を迎えようとしていた。時代が変わっても、信じ抜けるものはあるか。ひたむきな少年の成長を描く、芳醇な時代小説。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、2005年「い草の花」で第12回九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年「一朝の夢」で第15回松本清張賞を受賞し、単行本デビューを果たす。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を獲得し、16年『ヨイ豊』で第154回直木賞候補となり、同作で第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ここぽぽ
19
商人の心意気とお茶屋の矜持。 幕府御用達の宇治茶。京から江戸へお茶壺が駕籠とともに行列となって、静々と行く。泰平の世が変わりゆく様と、攘夷志士の反乱。 幕府存続が危ぶまれる中、戦乱の世の商いの困難さ。人々がお茶を求め喫するのは平和だからこそだと、しみじみ思った。2024/02/17
ジャスミン
5
宇治で生まれ育った仁吉はお茶壺道中を誇りに思っている。江戸日本橋の茶番屋〈森山園〉に奉公するが、優れた味覚と茶葉の知識により大旦那の太兵衛に可愛がられ、仁太郎と名前を貰う。 幕末の時代のうねりに翻弄されながらも、ひたむきに茶葉の道を信じて進む仁太郎。 彼の成長と共に幕末の時代を感じられた。2023/04/06
まめの助
4
★★★☆☆葉茶屋さんで働く少年の成長譚。お店のためにどんな困難も乗り越えようと頑張る主人公。幕末の動乱の中で商売と人生の厳しさを知り、ぐんぐん大人に。詰め込み過ぎな感じもするが、色々勉強になった。最後のお茶壺道中はとても切なかった。2024/05/06
せいこ
4
お茶好きとして読まねばと楽しみにしてた本。だったんだけど、読むスピードが上がらない… 宇治茶を扱う葉茶屋、森川園 森川園の奉公人、仁太郎は若くして手代になり宇治茶を森川園を守り抜くために奔走するおはなし。 今では主流のブレンドが当時では斬新な方法だったのと、お茶と海苔のお店が誕生した理由とかそういう歴史を知れてよかった。2023/02/27
kmzwrs5781
3
故郷を愛して、故郷の茶を愛して、世の中に翻弄されて、それでも愛し続ける。一途さに心を打たれる。美味しいお茶が飲みたくなる。まいねーむいず、にたろう。2022/02/05