出版社内容情報
江戸城の高家控えの間で端座していた吉良義冬は、四代将軍徳川家綱から突然の召喚を受けた。嫡子の吉良三郎義央の所在を家綱から直々に尋ねられた義冬は、その所在と、五摂家の近衛基煕を狙った者の存在を打ち明ける。一方、昇爵の返礼のため、京の近衛基煕を訪ねていた三郎は、朝廷で起こっている皇統の争いを父に知らせるべく、その手段を探していた。だが、三郎たちを監視する怪しい人物が現れ─
─。書き下ろし長篇時代小説。
内容説明
江戸城の高家控えの間で端座していた吉良義冬は、4代将軍徳川家綱から突然の召喚を受けた。嫡子の吉良三郎義央の所在を家綱から直々に尋ねられた義冬は、その所在と、五摂家の近衛基煕を狙った者の存在を打ち明ける。一方、昇爵の返礼のため、京の近衛基煕を訪ねていた三郎は、朝廷で起こっている皇統の争いを父に知らせるべく、その手段を探していた。だが、三郎たちを監視する怪しい人物が現れ―。大人気シリーズ、第4弾。
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年大阪府生まれ。歯科医師。97年に第20回小説クラブ新人賞佳作に入選しデビュー。2010年『孤闘 立花宗茂』で第16回中山義秀文学賞受賞。2014年「奥右筆秘帳」シリーズで第3回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
65
高家旗本四千石の名門・吉良義冬の嫡男で、あとの赤穂浅野家四十七士に討たれた吉良三郎義央の若き日の物語です。三郎は、幕府に黙って京で五摂家の近衛基煕に会っていた。そこで朝廷の皇統の争いに巻き込まれて行く。今上帝である後西天皇は、先代後光明天皇の弟である。後光明天皇が若くて亡くなるときに後継に指名したのは、当年当歳であった末弟の織仁親王であった。当歳の織仁親王を天皇にすることが出来ないので、織仁親王が成人するまでの代行として第八皇子であった良仁親王が即位して後西天皇となった。→2022/11/01
RASCAL
16
主人公は悪名高き?吉良上野介三郎。平和な世の中にはもはや不要となった元軍人を大量に官僚、事務方に転用した非効率な武家政権である江戸幕府は、その権威の根拠である天皇家に形式的に従属しながら支配する。そんな脆さを象徴するかのようなお役目の高家の嫡男時代の上野介はなんともさわやかな青年で、それがどうしてあんなことになってしまったのか、4巻になってもちっとも話が進まない。皇位継承の陰謀渦巻く都で、盟友の公家の筆頭・近衛家の若き当主とのあれこれ。これはこれで面白いのだが、討ち入りまであと何巻かかることやら。2022/05/03
わたしは元気
3
面白い。 赤穂浪士の側からの上野介しか知らないので。2021/10/26
ふっちゃん、男性60歳代(乱読書歴50年)→70歳になった。
2
高家吉良家嫡男三郎は、事情あって摂家近衛基熙を助けた事で朝廷より昇爵を受けた。この事が幕府トップに知れ、父吉良義冬は将軍に呼び出された。一方、京に居る三郎は基熙より朝廷内部での異変の相談を受ける。朝廷内部の基熙排斥グループは実力行使で三郎等に襲い掛かってくる。辛うじて躱す三郎等を基熙は自分のバックの後水尾法皇の元に連れて行く。 【3.8】2023/07/01
wang
2
皇統を思うままにしようとする公家の一派と近衛基煕との戦い。近衛家にお忍びで滞在中の武家を怪しんだ一派が正体を探ろうと絡んできた。後に高家筆頭として老練さを見せる吉良義央が、どのようにあしらうか見物だったが、身分を明らかにし権威を笠に着て撃退はがっかり。身元を隠さなければならないのにそれを知られる。相手の目的も正体を知るためだったのに、それを率先して明かす。完全に負けだし、その後の騒動を大きくしているだけだ。が、基煕の目的が事を荒立てて一派を一網打尽にするというのだとすると、義央は踊らせれているということに2022/04/06
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