出版社内容情報
【紀伊國屋書店チャンネル】
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。
内容説明
「おぬしならばこの曲事を解ける」本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞してデビュー。11年に『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、14年には『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。『満願』および15年発表の『王とサーカス』は3つの年間ミステリ・ランキングで1位となり、史上初の2年連続三冠を達成した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
1152
米澤 穂信は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者初の歴史小説、荒木村重は知っていますが、村重が主人公の小説は、初読です。大河ドラマ「軍師官兵衛」を観ていたので、黒田官兵衛は岡田准一、荒木村重は田中哲司のイメージで読みました。息詰まる籠城戦での群像劇、著者ならではの緊迫した歴史小説でした。歴史を紐解くと毛利を当てにして戦を行った武将は皆惨敗しています。毛利(長州)は明治維新で漸く天下を取りました。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000890/2021/06/23
パトラッシュ
1125
戦国時代を舞台にした安楽椅子探偵ミステリとは、よくぞ考えたものだ。しかも探偵役は有岡城の地下牢に幽閉された黒田官兵衛で、城の内外で起きた事件に悩む謀反人荒木村重に手掛かりを与えて解決していくのだ。明日の見えない2人が交わす言葉は研ぎ澄まされたナイフが触れ合うようで、一歩誤れば何があるかわからない緊迫感に満ちている。官兵衛が謎解きのヒントを出していたのは深いたくらみがあってのことで、戦国の謎のひとつである村重の有岡城からの単独逃亡の結末へつながっていくのだ。圧倒的な迫力と重厚さで読まされてしまう今年の収穫。2021/07/05
鉄之助
1114
まるで講談師の”軍記読み”を聞いているようだった。最初の1ページから、心地よい文章のリズムに はまってしまった。私にとって今年1番のおすすめ本。面白くて読むのが止まらなかった。荒木村重によって1年近くもの間、黒田官兵衛が地下の土牢に幽閉されていたことは知っていたが…。こんなにも壮大なドラマが展開されるとは! 歴史ミステリーの謎解きが延々繰り返され、中だるみ感はあったが、第4章から怒涛の嵐。全てがつながって感動した。「死より怖いのは、終わりのない苦痛」。戦国時代にとどまらず、現代にも通ずる真理だった。2022/12/17
青乃108号
966
俺は歴史に疎い。この長大な小説のどこまでが史実で、どこからがフィクションなのか俺には解らぬ。細部に至っては理解の範疇を超えており、そこが残念なところではあるが、それにしても物凄い物語である。待てど暮らせど来ぬ毛利の援軍。立て籠る城の主、村重の果てしない苦悩。牢に幽閉されながら城主の心を操らんとする官兵衛の遠大な策略。戦国時代における人間達の織り成す重厚な群像劇であり、時の経つのを忘れて読み更けってしまう。読む者の人生観を変えてしまう程の、これは読むべき一冊である。読む事が出来て良かった、と心から思う。2024/10/10
うっちー
966
史実は謎が多いですが、新しい形の戦国時代ミステリーでした2021/07/08