出版社内容情報
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
内容説明
高校生の射守矢真兎が挑む5つの勝負。騙しと理詰めが勝利を導く。『11文学の檻』の著者による究極の頭脳戦。
著者等紹介
青崎有吾[アオサキユウゴ]
1991年神奈川県生まれ。明治大学卒。在学中の2012年『体育館の殺人』で第22回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
1052
気楽に読んでなおかつタップリ堪能。平成のエラリー・クイーンはこういう方向にシフトしていくのだろうか。地雷グリコであそこまでピンポイントに踏む段を予測出来るものなのか?とか、椚の戦略は自分がリードしている前提じゃないと成立しなくないか?とか、坊主衰弱ってかなりベタなイカサマでゲーム自体は斬新さ0だよなとか、小火を起こすことを予測していたならそもそも放火禁止のルールを提言する倫理観はないのかとか、そういう諸々は新本格ミステリのフィールドでは通用しないかもなので、こっち系の作品でどんどん吐き出してほしい。2023/12/06
パトラッシュ
920
本格ミステリを批判する際の「人間か描けていない」という常套句に、完璧に実作で反論してみせた。傍目にはくだらないゲームに熱中する高校生の生態を描きながら、今この時しかない青春を全力で燃やし尽くそうとする若者たちの姿が実に魅力的であり、各編の謎やトリックも面白い。ただ、ここまで頭脳プレイに徹してリアルを排した作品では、宮部さんと京極さん以外の直木賞選考委員の壁は厚かったに違いない。ミステリ読者なら当然の図面やイラスト入りの形式も、一般の作家には想像できないだろう。その意味で早すぎた作品と呼ばれるかもしれない。2024/07/20
青乃108号
918
これが今風の小説なのか。時代は変わったものだ、それとも俺が追い付いて行けていないだけか。多分、後者。ストーリーの大まかな部分は理解できたものの、肝心な勝負の駆け引き、頭脳戦の部分はまるでお手上げですみません、よく解りませなんだ。一応解ろうとはしたんだけど、なにぶん昭和製の俺のポンコツ頭脳はパーツの真空管が破裂しそうだった。続けて読んだらそれこそ死にそうな気がしたので、一話ずつ、間に分かりやすい別の本を挟んだりして、なんとかようやく読み終えた。でもそんな俺にも主人公のキャラクターは好感持てたよ。終わり方も。2024/02/12
starbro
811
第171回直木賞候補作4作目(4/5)です。本書は、アナログゲームJK青春譚連作短編集でした。主人公の射守矢真兎は、ユニークで魅力的ではありますが、成瀬には負けます。 直木賞受賞には、深みが足りない気がするので、直木賞予想は、ステイです。 https://bookmeter.com/mutters/269066287 https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322011000437/2024/07/12
stobe1904
801
【2024年を席巻したゲームバトル小説】なじみのあるゲームを特殊なルールのもと勝負をかけて戦う女子高生の射守矢真兎。絶体絶命の窮地から最後に逆転する構図は何とも気持ちよくスリリングな展開に没頭する。本格ミステリの旗手がゲームバトルを書くとこうなるのか、と感嘆を抱きつつ読了。本業のミステリ新作が待ち遠しい。★★★★★2025/03/12
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- 電子書籍
- 月刊WiLL 2017年 4月号