内容説明
麻里子は新進気鋭の画家・田島と幸福な結婚生活を送っていた。しかし或る日、1通の手紙で夫の浮気を知る。許せない気持ちを胸に、相談相手に選んだのは、夫婦の友人の井関だった。3年ぶりの再会に、惹かれあう2人。夫の提案で、笑顔で別れようと、井関を含めた3人で乾杯をすることに。出された酒を口にした途端、田島と麻里子が倒れてしまった。夫が企てた無理心中か、殺人か。謎に包まれた真相に迫る、心理ミステリの傑作。
著者等紹介
西村京太郎[ニシムラキョウタロウ]
1930年東京生まれ。65年『天使の傷痕』で江戸川乱歩賞受賞。81年『終着駅殺人事件』で日本推理作家協会賞受賞。2004年、第8回日本ミステリー文学大賞を受賞。19年「十津川警部」シリーズで第4回吉川英治文庫賞を受賞。トラベル・ミステリーで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オーウェン
48
画家の田島と麻里子は幸せな結婚生活を送っていたが、田島の浮気を知ってしまう。 友人の井関に相談して、別れるため最後に3人で乾杯するが、田島と麻里子の2人だけ毒によって死んでしまう。 3人いて2人が死んだのだから、犯人は井関に決まっている。 そこをいかに警察が追い詰めていくのかが見どころ。 所々ある違和感の言葉や行動が犯人の仕掛けた罠。 表紙の顔が塗りつぶされた絵もヒントになっており、最後は犯人の独白で締め。2023/10/19
coco夏ko10角
18
画家である夫がモデルと浮気、夫の旧友に相談し離婚を決意し三人で集まるが…。もし殺人なら犯人は他にいないが動機や証拠は?矢部警部の執念、青葉城跡での緊張感、面白かった。2023/02/06
一式隼
11
氏の初期長編と言ってよいであろう作品で、登場人物もほぼ最低限、オーソドックスな展開で、振り幅の大きい「どんでん」はないものの、丁寧に展開する印象、語り口は暗めで地味だが、氏の初期作品の代表的な特徴でもある(よね?)。 結末、もう少し短く終わった方がテンポ良くて好印象な気がするが、とにかくミステリの常套手段を押さえた手堅い構成が持ち味か。なかなか良いと思う。 十津川ものは破天荒なのが多いが、初期は手堅い作風だなぁ、と感じることが多い。2021/06/30
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
7
令和3年 1月25日 改版初版。。。14冊目なのですでに他文庫で読んでいる。って角川か2021/02/09
まり
6
図書館本。面白かった。鉄道のミステリーではなく心理的なミステリー?見方を変えると、こんなにも状況が変わるのかと思ったし人の気持ちは脆い。2人が死んだとなると、そしてそれが殺人だとすると犯人は井関しかない…。でもその証拠がなかなかない。前半に伏線もあって、それが後半にわかりやすく回収されて楽しかった。2022/12/13