記者たちは海に向かった―津波と放射能と福島民友新聞

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  • サイズ B6判/ページ数 339p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041107348
  • NDC分類 070.212
  • Cコード C0095

出版社内容情報

その時、記者たちは、なぜ海に向かったのか――。東日本大震災で存続の危機に立った福島民友新聞。『死の淵を見た男』著者、門田隆将があの未曾有の危機に直面した記者たちの真実の姿と心情を描く。

内容説明

大津波の最前線で取材していた24歳の地元紙記者は、なぜ死んだのか。そして、その死は、なぜ仲間たちに負い目とトラウマを残したのか。記者を喪っただけでなく、新聞発行そのものの危機に陥った「福島民友新聞」を舞台に繰り広げられた壮絶な執念と葛藤のドラマ。

目次

激震
助けられなかった命
救われた命
目の上の津波
堤防を乗り越える津波
機能を失った本社
救世主
本社はどうした?
「民友の記事を」
「民友をつぶす気ですか」
放射能の恐怖
配達された新聞
地獄絵図
思い出
それぞれの十字架
遺体発見
傷痕

著者等紹介

門田隆将[カドタリュウショウ]
1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。ノンフィクション作家として、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなど幅広い分野で活躍している。『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)で第19回山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

191
【東日本大震災・あの日を忘れない】イベント参加により知った作品でしたが、一言では言い表すことのできない‘衝撃’でした。著者の作品は同じく震災関連の『死の淵~』も既読ですが、本作も勝るとも劣らない臨場感、緊張感、そして切なすぎる哀しみやその表裏とも思える感動が見事に伝えられています。ジャーナリズムの文字通り全身全霊、全てを捧げた熱き記者達の‘戦い’に涙が溢れ、止まりません。ある記者が救えなかった‘生命’にトラウマを抱える描写がなんとも言えず、胸を締め付けられました。あの震災の‘生’の姿がここに書かれてます。2017/03/06

ケイ

127
震災関連の本は、何冊か読んだが、この本は受け入れられなかった。登場する記者の人達の心のぶれがあるのが、なんとも複雑な気持ちになる。それでも向かってはいけなかったのだと思う。福島の地元の人には原発は空気のようなもので、あそこは安全だからその近くに逃げろと家族に言ったと読み、東北電力の原発のあたりでは、そこに避難したもいるのだと思い出した。2016/03/10

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

111
東日本大震災に直面した地元紙・福島民友新聞の記者達の奮闘を描いたルポ。『紙齢を欠く』……長年紡いできた発行が途切れる事は新聞の死だ。電源を喪失し新聞が作れない崖っぷちに立たされ、皆が命懸けで対応に臨んだ。「死ぬよ」という制止を振り切って海へ走った。被災地の人間として行動し還らなかった記者。カメラに意識を向けたため、救えたかも知れない命に手が届かなかった記者。全国紙の記者たちに責められる旧知の東電の幹部と対面し、一緒に男泣きに泣いた記者。地元と共に生きる彼らは被災地を照らす灯台のような存在なのだと思った。2016/03/19

しいたけ

108
人に自分の持っているものを迷いなく差し出す。そんな夫の性質を息子は引き継いでいる。時々たまらなく心配になる。いつか人に自分の命を差し出してしまうのではないか。もしくは差し出せなかったことを十字架にする人生を送ることになりやしないか。福島民友新聞の記者は、あの日海に向かった。一人は命を差し出し津波にのまれた。もう一人は助けられずに逃げた自分を掻き毟る。私にはブン屋の魂がわからない。だからただ、母として息子と重ねて見てしまう。逃げて欲しい。そしてどうか苦しまないで欲しい。どれだけの母が今も泣いているのだろう。2017/03/06

ゆみねこ

85
あの日、福島県浜通りの新聞記者たちは、何を思い何を伝えようとしたのか。福島民友新聞社では24歳の熊田記者が犠牲になった。目の前で津波に流された老人と子供を助けることが出来ずに苦しみ続けた記者のことも。事実を淡々と綴っているが、読み終えて涙が止まらなかった。あれから5年、忘れてはならない。2016/03/05

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